白内障手術用トロッカーシステム

2024/04/18 15:08 By Tech Manage

白内障手術用、新形状の専用トロッカー開発により、創口形成を均一化し、
前房安定性を改善、白内障手術をより安全、効率的にスピードアップ!

Advantages

  • 術者の習熟度によらず常に安定した創口を作成可能、合併症も軽減し、手術をスピードアップ。
  • 超音波乳化吸引中、ハンドピース抜去時も前房水の流出を抑制し、前房形態を安定維持。
  • 白内障手術以外にも、緑内障手術、角膜手術などの前眼部手術のほか、硝子体手術への移行が予想されるような難症例の手術でも応用が可能。

Background and Technology

白内障手術は基本的な手技が確立されており、直近20年間では術式の大きな変化はない。一方で、その術式には術者の技量が重要で習熟が不可欠であり、潜在的に不安定さが残っている。特に、ナイフを用い十分かつ最小限の創口を作成する技術は難しく、創口不良により手術が不安定になり、様々な合併症を招く可能性があることが問題となっている。硝子体手術において創口作成を改善・補助する器具として、硝子体手術用トロッカーが存在するものの、白内障手術には未導入である。硝子体手術用トロッカーは効果的だが、トロッカーのサイズや材質が合わず、超音波ハンドピースが入らず、そのまま白内障手術に用いることはできない。
そこで本発明者は、白内障手術時においても術者によらず常に安定した創口を作成でき、眼圧の維持など安全性の向上や手術時間の短縮、手術予後の改善を達成できる新たなトロッカーシステムを開発した。
本発明の白内障手術用トロッカーシステムは、メインポート用トロッカー、サイドポート用デバイス、前眼部手術用コンタクトレンズからなる(図1)。
メインポート用トロッカーはナイフ一体型のトロッカーであり、眼内挿入後はナイフのみ抜去してトロッカーを眼内に留置したまま既存の超音波ハンドピースを挿入できる。トロッカーの内腔は膜用弁になっており(図2)、これにより器具抜去後は自然に閉じて前房水の流出を防ぎ、また超音波ハンドピース挿入時は超音波の熱対策として弁とハンドピースの隙間を通じて適度に潅流液を潅流し、同時に眼圧も維持することができる。また硝子体手術用トロッカーと異なり金属製の内筒を持たないため、手術終了時には柔らかいトロッカーを抜去することでこれまでの手術と同様に創口の自己閉鎖を期待できる。またサイドポート用デバイスは、フックを挿入時に灌流液の流出を抑制、制御するデバイスである。前眼部用手術用コンタクトレンズは、メインポートおよびサイドポート使用に最適化した形状になっており、眼球の乾燥を防ぎ、視認性を向上させることができる。
このシステムは既存の白内障手術器械にも応用可能であり、また緑内障手術、角膜手術などの前眼部手術のほか、硝子体手術コンバートが予想される難症例にも即座に対応可能であり、広範囲の利用が期待される。

Expectations

福岡大学では、本発明の白内障手術用トロッカーシステムに関し、関連特許のライセンス導入による試作・評価・製造販売にご協力いただける医療機器メーカー様を探しています。詳細については別途資料(上記の発表資料)をご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
また、本発明者とのご面談も可能ですので、ご希望等ございましたら何なりとお尋ねください。

Publications

JST新技術説明会(2024年1月16日)

Patents

特許出願中(未公開)

Researchers

久冨 智朗 准教授 (福岡大学 筑紫病院 眼科 診療部長)


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