多倍体がん病理画像解析

2024/03/12 14:13 By Tech Manage

新考案の「倍数性判定モデル」を用いた、病理画像に基づく腫瘍の予後判定

Advantages

  • 腫瘍の予後不良(転移・薬剤耐性化)と関連すると言われる多倍体化が判定できる
  • 日常診療で得られる病理画像から簡便に、領域ごとに倍数性を判定することができる

Background and Technology

抗がん剤の治療効果や腫瘍の予後を予測するため、病理所見や様々な遺伝子情報を予測マーカーとして活用する研究が進んでいるものの、がん治療が多様化し日々変化する中で、未だ十分な予後予測は達成できていない。腫瘍細胞ではその原発臓器に関わらず、広く多倍体化(=ゲノムの倍加)が高頻度に生じていることが知られている。哺乳類では正常な細胞のゲノムは二倍体である一方、多倍体化とは三倍体以上にゲノムが倍加した細胞のことを意味する。腫瘍細胞の多倍体化は、がんの転移や薬剤耐性化の原因となる染色体不安定性につながるため、予後不良と関連する新しいマーカーとなることが明らかになりつつある。しかし、腫瘍の倍数性(※腫瘍細胞のゲノムが多倍体化しているかどうか、ゲノム倍加のレベルのこと)を判定するためにはフローサイトメトリー法や染色体FISH法、あるいはゲノムシーケンス解析等が必要とされ、これらの手法はいずれも手技が煩雑で高額な費用がかかるため、医療現場で日常的に行うことは困難であった。
そこで本研究者らは、医療現場でも容易に採用できる腫瘍の倍数性判定法の開発を目指し、病理画像から簡便に腫瘍の倍数性を判定できる本発明技術を完成させた。本発明技術では、人工知能の深層学習(Deep Learning)によって生成された「倍数性判定モデル」を使うことで、がんの病理像から多倍体がんの特徴を検出し腫瘍の倍数性を判定できる。また特殊な病理染色などは用いず、日常診療で得られる病理画像から腫瘍の倍数性を判定することが可能である。悪性度が高く、多様な抗がん剤治療に抵抗性を示すと考えられる多倍体がんを検出する本発明技術は、がん治療の様々な場面で治療効果・予後予測に活用できることが期待される。さらに現在開発が進む、染色体不安定性を示すがんの治療においても、重要なコンパニオン診断法となることが期待される。

Expectations

テックマネッジ株式会社では、大阪大学からの委託により、本発明のライセンス導入による製品化・実用化をご検討いただける企業様を探しています。本発明技術に関し、研究者との面談等による直接のお打合せも可能です。どうぞ何なりとお尋ねください。なお、本発明内容に関する詳細や具体的データの開示、並びに、未公開情報等の開示をご希望の場合は、大阪大学との秘密保持契約が必要となる場合がございます。本研究者らとの共同研究や、一定期間の独占的な評価、ならびに、実施許諾を受ける前の優先交渉権等のオプションの設定についてご検討いただくことも可能ですので、併せてご検討をいただければ幸いです。

Publications

論文未発表(※一部、学会等での公表あり)

Patents

国内特許出願済(未公開)

Researchers

松本 知訓 先生 (大阪大学  大学院生命機能研究科  テニュアトラック准教授) ほか

以下のフォームからお問い合わせください

Tech Manage