栄養外胚葉への特異的な形質転換

2024/03/15 12:08 By Tech Manage

胎仔には影響しない、胎盤形成部位のみへの特異的な遺伝子導入が可能

Advantages

  • 手技の簡便さ:受精胚の取扱いにおいて、透明帯の除去工程が不要
  • 安全性:ゲノムには遺伝子導入されない

Background and Technology

胎盤の機能の解明のためには、実験動物を用いた胎盤部位特異的な解析が不可欠であるが、従来の遺伝子導入法では胎盤部位に特異的な遺伝子導入が比較的困難であり、その解析方法が限られていた。胎盤への遺伝子導入法としては、例えばレンチウイルスベクターを用いて受精胚の将来胎盤となる部位(栄養外胚葉、のちに栄養膜細胞)特異的に外来遺伝子を導入する手法が知られている。しかしながら、同手法はレンチウイルスベクターを感染させるために初期受精胚の表面の透明帯を除去する工程が必要であり、実験操作の上で受精胚にダメージを与える可能性が考えられる。加えて、外来遺伝子を効率的に導入できるものの、レンチウイルスベクターは宿主のゲノムにランダムに遺伝子導入されてしまうことから部位特異的な遺伝子導入とは言えず、内在性のゲノム遺伝子の破壊による変異原性などの問題があった。また、レンチウイルスはバイオセーフティレベル2の実験施設で取り扱う必要があり、その観点でもより簡便な実験手法が求められていた。
このような背景から本発明者らは鋭意検討の結果、哺乳動物の胚盤胞期の受精胚に対し、栄養膜細胞(後の胎盤を形成する細胞)に対し特異的に外来遺伝子を導入できる手法を新たに発明した。本発明では、初期受精胚の表面の透明帯除去が不要であること、栄養膜細胞に特異的に遺伝子導入されゲノムには遺伝子導入されないこと、またバイオセーフティの面でもより安全かつ簡便に実験操作が可能という点で、上記の従来技術よりも操作性・利便性の両面で優れた方法と言えるため、本技術を用いることで、ヒトや家畜における着床不全・胎盤異常による流産や胎仔への悪影響を除くための研究(例えば、遺伝子治療)の進展が期待される。

Expectations

テックマネッジ株式会社では、大阪大学からの委託により、本発明のライセンス導入による製品化・実用化をご検討いただける企業様を探しています。本発明/プロジェクトに関し、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですので、ご希望がございましたら何なりとご相談ください。
また、大阪大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、本テーマに関する共同研究や、技術および発明の一定期間における有償評価(MTA契約/優先交渉権等のオプション設定)についてご検討いただくことも可能ですので、お気軽にお尋ねください。

Publications

未公表

Patents

特許出願済み(未公開)

Researchers

伊川 正人 教授 (大阪大学 微生物病研究所)


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