子宮内膜症の病態に関わるプロスタグランジン受容体を同定
Advantages
- 子宮内膜症の治療標的となりうるプロスタグランジンとその受容体を特定。
- 子宮内膜症モデルマウスでの検証が可能
Background and Technology
子宮内膜症は、月経時に剥離した子宮内膜が、卵管を逆流し本来あるべき子宮の内側以外の場所である骨盤や卵巣などに生着し、エストロジェン依存的に増殖を繰り返すことで不妊や慢性的な痛みを発症する疾患である。生殖年齢女性の約10%と非常に高い羅患率である一方、いまだ根治療法がなく、有効な治療法の確立が急務である。
本研究者は、プロスタグランジンとその受容体による生体機能調節の研究を行っている。プロスタグランジンは多くの組織・器官で様々な役割をもつホルモンだが、月経時に子宮の内膜が剥離するときに増加し、子宮を収縮させて子宮内膜を押し出す働きがあることから、子宮内膜症とプロスタグランジンについての研究を進めた結果、病巣において一部のプロスタグランジンの含量やその受容体の発現量が病巣のサイズと正に相関することを見出した。
Current Stages
- 子宮内膜症モデルマウス*を用いて、子宮内膜症におけるプロスタグランジンの含有量とその受容体の発現量について詳しく解析したところ、プロスタグランジン含有量とその受容体発現量が多いほど子宮内膜症の病巣が大きくなることを発見した。また、このプロスタグランジン受容体を欠損させたマウスでは、子宮内膜症の病巣重量が減少することも明らかにし、標的細胞のヒントとなる結果を得ている。
※卵巣切除後にエストロジェンで成熟させた子宮内膜組織を、同様に処理した別固体のメスの腹腔内に移植投与することで、子宮内膜細胞を子宮以外の場所に定着・増殖させたマウス。ヒトと同様にエストロジェン依存的な内膜増殖を示す。
- 他に、COX-2の発現量と病巣サイズも正に相関することを確認済みであり、上記の子宮内膜症モデルマウスにおいて移植後にインドメタシンを投与したところ、病態進展を抑制できることを確認した。
Expectations
テックマネッジ株式会社では、熊本大学からの委託により、本研究成果に基づく共同研究等をご検討いただける企業様を探しています。本テーマに関し、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですので、ご希望がございましたら何なりとご相談ください。
Publications
牧野凪紗ら, “子宮内膜症に関わるプロスタグランジン受容体” 第73回日本薬理学会西南部会. (オンライン開催). 2020年11月21日
Patents
なし
Researchers
杉本 幸彦 教授 (熊本大学 大学院生命科学研究部(薬学系) 薬学生化学分野)
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