腸管吸収効率の高いペプチドDDS技術を採用したインスリン経口製剤
Advantages
- 経口薬;本発明のペプチドと、既存の注射製剤にも用いられているインスリンの混合のみ
- 有効性確認済;in vivo実験データあり
Background and Technology
インスリンは糖尿病治療薬として広く用いられている。インスリン療法の原則は、生理的なインスリン分泌のパターンに合わせるようにインスリンを補うことであるため、毎回の食事毎の食前における速効型製剤の注射投与と1日1回の基礎分泌を補う持続型製剤の注射投与が必要であるため、患者のQOLは低く、より低侵襲な投与方法の開発が強く望まれている。一方、経口薬としての開発が難しい背景として、消化酵素による分解や小腸での吸収の困難さがあげられる。これらの問題のうち、胃での消化酵素による失活は、それを防ぐための腸溶性製剤技術が開発され、腸管まで薬物を送達可能になったものの、小腸での吸収効率を高める課題に関してはいまだ十分とは言えない。
本発明者らはこれまでに、小腸透過性の高い環状ペプチド(DNPペプチド)を同定しており、さらなる研究を進めた結果、消化管で分解されにくいD-アミノ酸からなるD-DNPペプチドを開発している。このD-DNPペプチドを一部修飾し、既存薬で用いられているインスリンと混合するだけで、小腸吸収性の高い経口インスリン製剤が得られることを実験的に確認した。
Data
- D-DNPペプチドのC-末端側にインスリン結合性のペプチドを連結させ、インスリンと混合した状態でマウスに経口投与したところ、インスリンが分解されずに小腸にまで到達し、さらに腸管を透過し門脈血漿中のインスリン濃度を上昇させ、血糖値を有意に低下させることを確認した。(未発表データ)
- また、インスリンを単量体ではなく、亜鉛イオンで安定化されたインスリン6量体(Zn-インスリン|既存の注射製剤で用いられているもの)に変更したところ、小腸内でより分解がされにくくなり、さらにマウスのインスリン吸収を促進し、血糖値を下げることも明らかにした。
Development Stages & Plans
- D-DNPペプチドとの混合型の経口インスリン製剤を開発済み
- D-DNPペプチドとの共有結合型の経口インスリン製剤について検討中
- インスリン以外にも、D-DNPペプチドを用いた各種薬剤の開発に取り組むことが可能
Expectations
テックマネッジ株式会社では、熊本大学からの委託により、本発明のライセンス導入による製品化・実用化をご検討いただける製薬企業/スタートアップを探しています。熊本大学との秘密保持契約の締結による未公開データ等の開示の他、本発明者とのご面談も可能です。
また、本発明に関する共同研究のみならず、一定期間における独占的な評価や、実施許諾の優先交渉権等のオプション設定についてご検討いただくことも可能です。
ご希望等ございましたら何なりとお尋ねください。
Publications
1. Yamaguchi, S. et al., J. Controlled Release (2017) 262, 232–238.
[DOI] http://dx.doi.org/10.1016/j.jconrel.2017.07.037
2. Ito, S. et al., Mol. Pharmaceutics (2021), 18, 1593–1603.
Patents
PCT/JP2016/064767 (日本特許6857875号;米国特許10,736,941)
Researchers
伊藤 慎悟 准教授 (熊本大学 大学院生命科学研究部)、 ほか
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