高効率の腸管送達・吸収DDS技術

2024/03/28 10:36 By Tech Manage

消化管での分解を抑えつつ小腸まで届き、かつ高効率に腸管上皮を透過させることも可能な、
D型アミノ酸の環状ペプチドを用いた経口DDS技術

Advantages

  • 消化酵素による分解の影響を受けにくく、生体高分子製剤も小腸まで高効率に送達可能。
  • 本発明のペプチドが腸管上皮を高効率に透過することを、モデル動物を用いた実験により確認済。
  • 細胞毒性が低く、安全。
  • 既存の在宅自己注射薬など、非経口投与の薬剤を経口投与剤とできる可能性あり。

Background and Technology

薬剤の経口投与は、安全で簡便かつ非侵襲的であることから最も汎用されている投与経路であるが、ペプチドや核酸等の生体高分子の薬剤投与の場合、経口投与後に消化管内で酵素による分解を受けたり、高分子ゆえの腸管吸収性の低さから十分な効果が得られなかったりする問題がある。
本発明者らは、ヒトの腸管を模したCaco-2細胞透過性実験系を用い、M13ファージディスプレイ法を組み合わせることで、小腸での腸管上皮を高効率に透過する環状ペプチドを複数同定した。さらにマウスを用いた実験により、それらのうち最も腸管吸収効率の良い「DNPペプチド」を得た。また、消化管で分解されにくくする目的で、D体のアミノ酸を用いた「D-DNPペプチド」も開発した。
このD-DNPペプチドと、経口投与が難しいとされる既存薬の例としてリコンビナントのインスリンを複合化させてマウスに経口投与した結果、小腸での高い吸収性が実験的に確かめられた。

Data

  • Caco-2細胞単層取り込みアッセイ、及びマウス腸管吸収アッセイ(in situクローズドループ法)により、DNPペプチドは対照に比べてそれぞれ約37倍、約620倍の透過性を示した。
  • D-DNPペプチドと、インスリン単量体、あるいは既存のインスリン製剤に用いられているインスリン6量体を複合化させ、それぞれマウスに経口投与したところ、どちらの場合も門脈血漿中のインスリン濃度を上昇させ血糖値を有意に低下させることを確認出来た。このことから、インスリンが消化管中で殆ど分解されずに小腸にまで到達し、さらに腸管上皮も透過したことが裏付けられた。

Expectations

テックマネッジ株式会社では、熊本大学からの委託により、本発明のライセンス導入による製品化・実用化をご検討いただける製薬企業/スタートアップを探しています。熊本大学との秘密保持契約の締結による未公開データ等の開示の他、本発明者とのご面談も可能です。
また、本発明に関する共同研究のみならず、一定期間における独占的な評価や、実施許諾の優先交渉権等のオプション設定についてご検討いただくことも可能です。
ご希望等ございましたら何なりとお尋ねください。

Publications

  1. Yamaguchi, S. et al., J. Controlled Release (2017) 262, 232–238.  
    [DOI] https://dx.doi.org/10.1016/j.jconrel.2017.07.037 
  2. Ito, S. et al., Mol. Pharmaceutics (2021), 18, 1593–1603. 
    [DOI] https://dx.doi.org/10.1021/acs.molpharmaceut.0c01010 

Patents

PCT/JP2016/064767 (日本特許6857875号;米国特許10,736,941)

Researchers

伊藤 慎悟 准教授 (熊本大学 大学院生命科学研究部)、 ほか


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