パワーデバイス用SiC基板の研磨装置

2024/05/28 16:20 By Tech Manage

電気化学的機械研磨(ECMP)により原子レベルで平坦な表面が得られる

Advantages

  • ダメージフリー:陽極酸化を用いた高能率な表面改質
  • 低コスト:スラリーレス、中性電解液の使用
  • 既存のCMPと比較し装置が簡便であり、また数倍~十数倍高いレートでの研磨加工が可能
  • SiC、GaNなどの半導体材料の他、WCなどの硬質合金の研磨が可能

Technology Overview

陽極酸化を用いた電気化学機械研磨(ECMP)に基づく技術であり、高効率研磨(第1工程)と低表面粗さ仕上げ(第2工程)とを組み合わせた、半導体基板などの研磨方法および研磨装置。
まず第1工程として、被加工物(陽極に相当)よりも硬度が大きな砥粒を含む研磨パッド(陰極に相当する砥石)により、SiC基板等の被加工物の表面に浅いダメージ層を形成しながら陽極酸化を行い、研磨以前から表面に存在する深いダメージ層の除去を行い、続いて第2工程として、軟質砥粒が含まれる研磨パッドにより仕上げ研磨を行うことを特徴とする。これらの工程を組み合わせることにより、基板表面のダメージ層を高効率に除去することができる。さらに、SiC基板の場合には、第2工程において、印加電圧をSiCの不動態形成条件に設定することで、陽極酸化スピードは大幅に減少するものの基板表面に均一な酸化保護膜が形成されることにより、ECMPのデメリットである突起状の酸化物形成を抑制でき表面粗さを大きく改善しての仕上げ研磨が可能となる。

Background

パワーデバイス用単結晶SiCの表面研磨では、ダイヤモンド砥粒での研磨後にダメージフリーに研磨仕上げする手法としてCMP(Chemical Mechanical Polishing)が用いられる。CMPはスラリーに含まれる砥粒と化学薬品により表面を改質しながら研磨する方法だが、研磨レートが遅く加工の空間分解能を有してないことや、化学薬品を含むスラリーの廃液処理コストが嵩むことなどが問題となっている。このようなCMPの問題解決のため、陽極酸化によるECMP等が従来から検討されている。
本研究者らはこれまでに、基板表面に敢えて浅めのダメージ層を形成することで陽極酸化の効率が上がることを見出し、本発明(第1工程)を用いることで結果的に、基板をインゴットから切り出す際などに生じる深めのダメージ層をすべて研磨除去できるまでに要する時間が短縮できることを見出した。ただし、この工程だけでは研磨レートの向上と引き換えに、酸化レートの向上に伴う基板表面に突起状の酸化物形成がECMP特有の現象として起こるため、表面粗さが悪化するというデメリットがある。そこで、仕上げ研磨(第2工程)として研磨レートを犠牲にすることで突起状酸化物の形成を抑制した研磨を行うことで、本発明を完成させた。

Expectations

テックマネッジ株式会社では、大阪大学からの委託により、本発明のライセンス導入による製品化・実用化をご検討いただける企業様を探しています。本発明/プロジェクトに関し、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですので、ご希望がございましたら何なりとご相談ください。
また、大阪大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、本テーマに関する共同研究や、技術および発明の一定期間における有償評価(MTA契約/優先交渉権等のオプション設定)についてご検討いただくことも可能ですので、お気軽にお尋ねください。

Publications

Rongyan Sun, et al., CIRP Ann. (2024) In Press. 
Xu Yang, et al., J. Manuf. Process. (2021) 70, 350–360. 
Xu Yang, et al., Nanomanuf. Metrol. (2019) 2, 140–147. 
Xu Yang, et al., Electrochim. Acta (2018) 271, 666–676. 

Patents

特願2020-132331(特開2021-027359として公開) ※大阪大学から実施許諾可能

Researchers

山村 和也 教授 (大阪大学 大学院工学研究科 附属精密工学研究センター) ほか

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