微生物が形成する酵素を内包した膜小胞が、そのまま電極触媒として発電。製法も簡便で耐久性も向上し、
膜タンパクも利用可能なため酵素の選択肢が拡大する。
Advantages
- 微生物のもつ膜小胞形成の機構を利用するため、単離精製や調製等のコストや手間が大幅に削減。
- 膜小胞に包むことで酵素を保護し、外部からの刺激に対する耐久性や安定性が向上。
- 今まで単離できなかった膜タンパク質の酵素も利用できるため、新しいセンサーの開発が期待できる。
Background and Technology
環境にやさしい持続可能なエネルギー源の一つとして、化学エネルギーから電気エネルギーへの変換のための電極触媒に、酵素や微生物そのものを利用したバイオセンサーが開発されている。しかし酵素は単離精製のコストや手間がかかり、また耐久性や安定性の問題がある一方で、微生物は増殖の制御の難しさや抵抗感などの問題があり、実用化されているものは多くない。
本発明者は、微生物由来の酵素を含む膜小胞を電極触媒に利用したバイオセンサーを開発した。この膜小胞は、微生物を培養した後に薬剤で溶菌させることで容易に作製できるため、コストや手間が大幅に削減できる。また膜小胞に包むことで酵素を保護し、外部からの刺激に対する耐久性や安定性も向上する。更に、これまで単離できなかった膜タンパク質の酵素も膜小胞に内包した状態で利用できるため、新たな酵素を利用したバイオセンサーの開発も期待できる。
なお本技術は、バイオセンサーだけでなくバイオ燃料電池などへの応用も可能である。
Data
- 電子メディエーター(メチルビオロゲン)存在下でギ酸脱水素酵素(FDH)を含む膜小胞を、ギ酸を基質として反応させたところ、メチルビオロゲンが還元され電極を通じて定常的な電流値が観察された(下図)。
- 電流値は16日以上の長期間でも安定して観測できており、微生物と比較しても安定している。また触媒活性は膜小胞の形成方法により制御可能。なお電子メディエーターなしでの発電も実証済みである(参照:preprint(30 December 2024, Version 1)"Electrocatalysis of Bacterial Membrane Vesicles")。
Expectations
本発明技術にご興味のある企業様を探しています。本発明者とのご面談も可能です。ご質問、ご希望等ございましたらいつでもお問い合わせください。
Patents
特開2024-162854
Researchers
徳納 吉秀 助教(筑波大学 生命環境系)
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