軽負荷時損失を削減するDC-DCコンバータの間欠運転制御

2025/10/29 13:55 - By Tech Manage

EV車載充電器や半導体変圧器(SST)に最適で軽負荷効率を向上

Advantages

軽負荷時効率の向上
間欠運転からの復帰時に発生するハードスイッチング損失を、ZVSでほぼ完全に排除。
デバイス総損失の約17%低減による、システム全体の効率改善

装置の小型・軽量・低コスト化
電力損失の低減による発熱抑制。冷却機構の小型化による、装置全体の小型化、軽量化、コストダウンの実現

高い信頼性と自由な高効率化設計
ソフトスイッチングによる半導体へのストレス低減と、システムの長寿命化。寄生容量の大きい(低オン抵抗の)デバイス採用を可能にする、高い設計自由度

Background and Technology

EVの充電プロセスやSSTが担う電力系統の安定化など、多くの最先端分野では軽負荷状態での運転が長い。この軽負荷時の効率を改善する「間欠運転」は、運転再開時に高い電圧がかかった状態でスイッチをオンする「ハードスイッチング」を引き起こし、大きな損失とデバイスへのストレスが課題であった。
本技術は、これまで損失の原因とされてきた半導体デバイスの「寄生容量」と回路のインダクタンスが起こす自然な「LC共振」を、そのタイミングを精密に制御することで逆手に取り、この課題を解決する。
休止期間の終了時に、このLC共振でデバイス電圧がゼロになる瞬間を予測し、そのタイミングでスイッチをオン。これにより、運転再開時の理想的なZVSを確実にする。

Data

  • 全損失比較
    従来SPS制御(黒線)では1500W以下の軽負荷領域で逆に損失が増加してしまうのに対し、本提案手法(赤線)では出力電力の低下に伴い、損失も順調に低減
  • 損失解析
    1200W出力時において、本技術(n=2.5)を適用時に、ハードスイッチング時に発生する寄生容量由来の損失(Eoss, Eqoss)が劇的に低減され、デバイスの総損失が82.0Wから67.8Wへと、約17%削減

Expectations

本技術は、EV用車載充電器、V2G/V2Hシステム、半導体変圧器(SST)、エネルギー貯蔵システム(ESS)など、脱炭素社会を支える基幹製品の性能向上に貢献すると考えられる。
核となる制御アルゴリズムは完成しており、実験による有効性も実証済みである。貴社の製品に本技術を最適に実装するための共同研究開発や、完成されたコア技術としての技術ライセンスなど、柔軟な連携を希望する。

Patents

特開2025-3188

Researchers

磯部 高範(筑波大学 数理物質系 准教授)


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