注視点を変更できるバレットタイム映像

2025/10/29 12:05 - By Tech Manage

Advantages

  • 複数の全方位カメラで撮影した映像から、視点や注視点を後から自由自在に設定できる、制約のない高品質なバレットタイム映像を生成する技術
  • 360°撮影により、注視点を変更しても各カメラの映像が滑らかにつなぎ合わされる。
  • 本技術は映画・動画作成、スポーツ観戦・分析、観光地案内などに活用できると考えています。本発明を利用した製品化・実用化していただける企業を募集しています。

Background and Technology

映画やスポーツ中継おいて時間が止まったかのような空間で、被写体の周りを視点が滑らかに移動する「バレットタイム」 と呼ばれる映像技法が知られている。この魅力的な映像は、通常、撮影時に定めた中心の物体である「注視点」を変更することはできない。
筑波大学の北原教授らのグループは、撮影後であっても、注視点を自由自在に変更できる、全く新しいバレットタイム映像の作成システムを開発した。
例えば、サッカーの試合において、まず、コートを囲むように複数の「全方位カメラ」を設置し、ピッチ上の出来事を360度まるごと撮影する。次に、撮影した映像をコンピュータ上の仮想空間に展開し、それぞれの映像を球体CGモデルの内側にテクスチャとして貼り付ける。最後に、その仮想空間の中で「注目したい選手」や「ボール」を注視点として指定すると、各カメラの映像からその注視点を見たアングルが自動で生成され、滑らかにつなぎ合わされたバレットタイム映像が完成する。
この技術により、スポーツ観戦では視聴者が好きな選手の動きを追いかけたり、スポーツ指導では選手のフォームをあらゆる角度から確認したりすることが可能となる。音楽ライブで特定メンバーの表情や動きをクローズアップしたり、観光地の案内で注目ポイントを分かりやすく示したりと、人や動きに注目させてシーンの迫力を増大させ、細かな動きや表情を見やすくするような映像コンテンツに最適な技術である。

Data

全方位カメラを用いて図1に示すような34 か所において40cm間隔で360度撮影を行った。

その後、図1中の object と door を注視点とし,それらの3次元座標を計測してそれぞれのバレットタイム映像を生成した(図2、図3、見かけの大きさの補正処理済)。

Expectations

筑波大学では、本技術にご興味がある以下の企業様との協業を希望しています。本カメラシステムのハードウェアから共同開発を希望いたします。
(1)映像クリエイター・制作会社等映像を作成している企業様
(2)映像制作・編集ソフトウェアメーカーなど映像作成のためのツールを開発している企業様
(3)スポーツ・ライブ業界/システムインテグレーターなどシステムのユーザーとなる企業様
また、貴社の具体的なニーズに応じた応用開発を効果的なカメラの設置方法から、独自の解析手法の構築まで技術指導いたします。本発明に関し、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

Patents

特許第7006912号

Publication

竹内音、北原格 他、第22回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集, 2017年9月

Researchers

北原 格 教授 (筑波大学 計算科学研究センター) 

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