Advantages
- 超音波とアプタマーセンシングを利用した極微量分子計測
- 超高感度な測定が可能。サブpMの微小量を測定できる
- 高い汎用性。アプタマーを作ることができる分子であればどのような分子でも測定可能
- 微量分子の測定技術にご興味のある検出器メーカーや、本測定技術を利用されたい医療分野、環境分析、犯罪捜査などに関連する企業でのご活用を提案します
Background and Technology
近年、医療、環境科学、食品安全などの分野において、サブナノからフェムトモーラーまでの極微量な分子の高感度検出技術が求められている。従来は、ELISA法や量子ドットを用いた検出技術などがあるが、より高い検出感度や、より良い使いやすさ(標識や修飾が不要、簡単)、より広い汎用性といった課題がある。
筑波大学の宮川先生は、これらの課題を解決しうる、全く新しいコンセプトの微小量検出技術を開発した。これは、超音波によって発生する力を使い、極微量の物質の濃度を高感度でセンシングする技術である。強力な超音波を使い空気中や液中で物質を浮遊させる、「超音波浮揚」現象を応用する。
本技術のメカニズムを概説する。測定器は、それを満たす溶液中に漂うターゲット分子と、ターゲット分子に特異的に結合するアプタマー(測定器の底面に固定)、そしてそのアプタマーに結合するレポーターDNAがある(図1)。ターゲット分子の濃度が高い場合、アプタマーの多くがターゲット分子と結合するので、レポーターDNAはアプタマーに結合せず、測定器の底にたまっている(図2右)。このとき、超音波を垂直方向に照射すると、レポーターDNAは超音波によって底から浮揚し、最終的には測定器の中央に集まる(超音波は予め、測定器内で定在波を作り、節を中央部に作るように調整されている)。一方、ターゲット分子の濃度が薄い場合(図2左)、多くのレポーターDNAはアプタマーと結合しており、底にたまっている量が少ない。つまり、弱い超音波では測定器の中央に集まるレポーターDNAの量は少ない。しかし、超音波がある程度強くなれば、レポーターDNAはアプタマーから離れることができ、測定器中央に集まる量が増える。以上の現象を整理すると、測定器中央に集まるレポーターDNAの量と測定器に与える超音波の関係を見ることで、ターゲット分子の濃度を測定することができる(図2中央)。実際には、図2中央グラフのように、超音波を発生するための電圧(横軸)と、測定器中央に集まったレポーターDNAの割合(縦軸、顕微鏡観測と画像解析によりレポーターDNAを担持する粒子の個数を計測する)から検量線(図3、4)をあらかじめ作成しておく必要がある。

Data
- モデルケースとして微小濃度のアルギニンを測定した。アルギニン特異的なアプタマーと、それに結合するレポーターDNA(ポリスチレン粒子に担持)を用いた実験系を構築した。アルギニンの濃度を変化しながら、超音波発生電圧とポリスチレン粒子の乖離率との関係性を計測した結果、図3のようになった。また、アルギニンの既知の濃度と図3中のプラトー部分(電圧に対して乖離率が変化しない部分)との関係をプロットした検量線(図4)を作成した。この検量線から、検出限界は0.28pMであった。

Expectations
私どもは、本技術を用いた計測装置の製品化に興味のある検出器メーカーを探しています。開発者とのコラボレーションによる製品開発や、特許ライセンスによる事業化をぜひご検討ください。また合わせて、本技術を利用した検査に興味のある医薬・医療、環境分析や犯罪捜査などに関連する企業様を探しています。極微小量の検出に関するニーズをぜひお寄せください。
研究者との直接のご面談によるお打合せも可能です。
また、筑波大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、本テーマに関する共同研究についてご検討いただくことも可能ですので、お気軽にお問合せください。
Patents
特許出願済み(未公開)
Researchers
宮川 晃尚 助教 (広島大学、 元 筑波大学 数理物質系)
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