蓄電池や発電機で緊急時も使えるLPWAを応用し、電源喪失時もシームレスに代替通信ができる
Advantages
- 災害時でも安定して運用できる、IoTシステムの通信手段を提案
- 導入コストが低い:ハードウェアは軽微な改造もしくは改造不要、ソフトウェアの変更で導入可能。
Background and Technology
IoTシステムは、センシングを行う端末「エンドデバイス」とそれらのデータをとりまとめるサーバ「ゲートウェイ」、そしてゲートウェイのデータを集約して保管・処理などする「クラウドサーバ」からなる。エンドデバイスとゲートウェイは一般に無線通信、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)でつながる。一方で、ゲートウェイからクラウドサーバに至るにはインターネットや専用線が使われるが、自然災害などによって回線が不通・輻輳になると、IoTシステム全体が使用できなくなってしまうという問題がある。
この問題を解決するために、筑波大学システム情報系所属の亀田敏弘准教授は、新しい通信システムを開発した。下図のように、河川の流量センサを例に説明する。エンドデバイスとゲートウェイはLPWAでつながり(図中①)、ゲートウェイはインターネットなどを通じてクラウドサーバにつながる(図中②)。もし地震や水害などによってこのゲートウェイ~クラウド間が不通になったとき、ゲートウェイは通常経路の通信を止め、自分が持つLPWAアンテナから「発信」を始める(図中③)。そして、ゲートウェイが発信したLPWA信号を、遠隔地に置かれた大型の受信アンテナ「遠隔受信局」が受信し、最終的にデータがクラウドサーバに到達する(図中④)。大型のアンテナであれば、もともと出力が弱いLPWA信号であっても遠隔地で受信できること、そして遠隔地であれば自然災害による影響を回避できることが、本技術のキーである。なお、この遠隔受信局は自動車に搭載するなど可搬性のあるサイズでも十分な能力があると考えられる。
本技術を導入するコストは低いと考えられる。ゲートウェイのLPWA受信機に送信機能を付加することは、ハードウェアの軽微な設計変更や、ソフトウェアの変更で対応できると思われる。また、遠隔受信局は他の通信設備と共用することが可能だろう。
Expectations
筑波大学は、本技術を元にしたIoTシステムの製品化・実用化にご関心のある企業を探しています。筑波大学と秘密保持契約を締結いただくことで、より詳しい技術内容を開示することが可能です。また、技術開発を大学と共同で行うための、共同研究もご相談できます。さらに、本技術を事業化する際には、大学が特許を企業にライセンスすることも可能です。
Publication
「LPWAネットワーク型データ取得の電源喪失時レジリエンス向上に関する研究」亀田敏弘他
Patent
特願2023-29520
Researcher
亀田 敏弘先生 (筑波大学 システム情報系 准教授)
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