~アナログデジタルコンバータの非線形を「指紋」として活用~
Advantages
- センサから出た信号を処理するアナログデジタルコンバータ(ADC)が持つ非線形性をPUF(*)として認証に使う。
- センサの種類や特性を問わず、汎用的なセンサデバイスで適用可能。例えば、画像、音声、加速度、地磁気、温度、水量、など。また、GPSや無線通信などでも応用が期待される。
- PUFのための特殊なハードウェアを必要とせず、コストが低い。
*:Physically Unclonable Function:物理複製困難関数
Background and Technology
PUF はハードウェアが持っているユニークな物理特性をもとにして、入力(チャレンジ)からハードウェアに一意の出力(レスポンス)を生成する技術であり、デバイス固有の複製困難な識別ID や暗号鍵を生成する技術への応用が期待されている。
大阪大学情報科学研究科の三浦典之教授らは、電子機器に備わっているセンサに含まれるアナログデジタルコンバータ(ADC)を用いてユーザーのデバイスの認証を行う、新しいPUF技術を開発した。ADCは、一定の範囲にあるアナログ電圧(または電流)を、対応するデジタル信号に変換する機能を持つ。ここで理想的なADCであれば、アナログ電圧とデジタル信号との対応は階段状になるはずである。しかし、実際のADCは右図のようにデジタル出力に対応するアナログ電圧の範囲は一定ではない。そして、このアナログ電圧とデジタル出力の対応関係はそれぞれに含まれる素子や構成によって変わる。つまり、この対応関係はADCの「指紋」であり、これをPUFとして使うことを今回提案する。
ADCは非常に多数の電子デバイスに使われており、本技術もそうした様々な種類の電子デバイスに活用できる可能性がある。実際に効果的な用途としては、カメラやタッチパネル、バーコードリーダ等を用いた顔認証や静脈認証、指紋認証、虹彩認証等の認証システムを想定する。
Expectations
大阪大学では本技術を元にしたセキュリティシステムやPUFデバイスの開発に関心を持つ企業を探索しています。大学では技術の実用化に向けたPoC研究を進めておりますが、実際のセキュリティシステムとしての活用のビジョンや、システム・デバイスの実用化に向けた開発について企業が主体となって事業を展開いただきたく、思います。大学からは、共同研究などを通して技術情報の提供および共同での技術開発体制の構築を提案します。本技術および三浦先生の研究にご関心がありましたら、ぜひ弊社へお問い合わせください。
Publications
・Noriyuki Miura, “[Invited Forum] Integrated Sense-and-React Countermeasures Against Physical Attacks,” IEEE International Solid-State Circuits Conference (ISSCC), Feb. 2022.
Patent
・特許出願中 特開2021-166324
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