抗B型肝炎ウイルス(HBV)治療薬の開発
Advantages
- 既存薬であるインターフェロンや核酸アナログと全く違う作用機序
- 予備的スクリーニングで同定した阻害剤候補によりin vivoで抗HBV効果を実証済
- 世界で初めて高純度精製・結晶化に成功したHBVポリメラーゼRTドメインを用いて、新たなリード化合物の探索・開発が可能
Background and Technology
HBV感染者は、2000年代前半には一過性の感染者が20億人に及んだと推定されており、持続感染者すなわちウイルスが排除されずに体内に残っている人は世界に3億人いると推定されています。HBV治療薬として、インターフェロンや核酸アナログによる逆転写酵素阻害剤(NRTI)が使われていますが、副作用や薬剤耐性の問題があり、別の作用機序の治療薬の開発が求められています。
非核酸系逆転写酵素(ポリメラーゼ)阻害剤(NNRTI)は、HBVポリメラーゼに結合し直接的に活性を阻害するものであり、NRTIとは作用機序が全く異なり、かつ強力なウイルス抑制効果が期待できます。しかし、HBVポリメラーゼ精製が難しかったため、これまでNNRTIは開発されてきませんでした。
私たちはHBVポリメラーゼのRTドメインの高純度精製を行い、世界で初めて結晶化に成功しました。また、精製RTを用いた予備的なスクリーニングにより複数の阻害剤候補を同定し、ヒト肝細胞キメラマウス等を用いて抗HBV治療効果を確認しました。
Expectations
<現在の研究段階>
- RTドメインの精製に成功、セルフリー・セルベースアッセイ構築済
- 上記アッセイを用いて74000化合物からスクリーニングした化合物をヒト肝細胞キメラマウスで評価しin vivoにおける抗ウイルス効果と毒性なしを確認済
- 精製RTドメインの結晶化に成功、結晶構造解析、シミュレーションによる結合部位予測や薬剤組合せ効果予測を実施中
<協働への期待>
- 上記のデータやアッセイ系を用いて、パートナー企業と協働で、ドラッガブルなシード/リード化合物のスクリーニング・デザインおよび治療薬開発に取り組みたいと考えています。そのようなパートナー企業を募集しています。
- 協働で得られた成果については、共有を前提として取扱いを協議したいと考えています。
Publications
Researchers
上田 啓次 教授
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