超音波放射力による粒子解離で分子の平衡定数を半定量

2022/12/08 16:46 By Tech Manage

~超微量、微弱な分子間力を短時間で計測可能~

Advantages

  • 超音波—重力複合場中の粒子解離挙動を利用した平衡定数の半定量
  • LSPR法やQCM法における測定時間の長さ、試料の必要量といった課題を解決し、特別な装置や技術も不要
  • Ka = 102-109 M-1の平衡定数を計測可能
  • タンパク質-リガンド間平衡定数の半定量を実証済

Background and Technology

分子間の相互作用力は、薬剤の特異性評価や粒子の機能評価において重要なパラメーターであり、LSPR(局在表面プラズモン共鳴)法やQCM(水晶振動子マイクロバランス)法などで計測されているが、弱い相互作用の計測は、測定に長時間を要する、多量の試料が必要といった理由で困難であった。本発明者らは、超音波—重力複合場中の粒子解離挙動を利用して、粒子解離が起きる電圧(超音波放射力)と分子間力(平衡定数)から、平衡定数が小さい反応系において少量の試料で平衡定数を半定量可能な方法を創出した。

実験データは右表の通り(Analyst, 2022,147, 4735-4738 より引用)。タンパク質-リガンド間平衡定数の半定量において、オーダーで文献値と一致することを実証した(誤差は2-3倍程度)。検出可能範囲は平衡定数Ka = 102-109 M-1である。

本発明を用いた分析装置により、分子複合体の乖離定数を短時間の測定で計測可能であり、また夾雑物中の複数の結合の判別が可能なため、創薬や機能性材料など様々な分野での適用が期待される。


Expectations

筑波大学では本技術を用いた分析装置を開発するパートナー企業様を募集しております。

また、本技術の活用にご関心のある創薬・化学メーカー様からのコメントもお待ちしております。いただいたコメントを元に分析装置メーカー様との製品開発に向けたアライアンス形成も視野に入れております。

Publications

・論文:Analyst, 2022,147, 4735-4738
・(公開資料)ポスター、論文、イノベーションジャパンでの発表資料

Patents

・特許出願中

Researchers

宮川 晃尚(筑波大学 数理物質系 助教)


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