高強度かつ内周にバリが生じない、パイプ材・中空材の接合方法

2023/02/02 11:09 By Tech Manage

~テーパー形状加工により内壁の変形しない固相接合を実現~

Advantages

  • パイプ材や中空部材の端面を外周から内周にかけてテーパー形状に加工して抵抗接合する
  • 内壁にバリがほとんどない滑らかなパイプや中空の継手を作製可能
  • パイプや中空部材の内壁のバリ取りが不要になり、製造コストを削減できる可能性
  • 中炭素鋼S45Cパイプ材でなめならかな内壁を持つパイプ継手の作製を実証済
  •  銅とアルミのような異材接合でも、強度劣化を抑えつつ内壁が滑らかなパイプを製造できる可能性

Background and Technology

パイプや中空材の接合はろう付けや溶接、接合金具による機械的な接合が一般的であるが、強度が弱い、バリの発生、フランジの必要性などの短所もそれぞれある。
大阪大学接合科学研究所の藤井教授らは長年の技術開発の成果として、内壁にバリが生じないパイプや中空材の接合方法を開発した。まず、パイプや中空材の端面を外周から内周にかけてテーパー形状に加工する(下左図参照)。次にこの部材を抵抗接合(端面に電流を流して、電気抵抗で生じた発熱を使い、接合する)する。すると、内壁にバリがほとんど発生しない継手が作成できる。
例えば、中炭素鋼S45Cパイプ材での実験結果は下右図の通り。厚さ2mmのS45Cパイプ材に対して、印加加重12.6kN、電流3000Aで接合したところ、通常形状では寄り代4mmで接合したが内壁が凹んだ。一方で角度30°のテーパーをパイプ材端部につけ抵抗接合したところ、適切な寄り代(本実験では6mm)で理想的な内壁を有するパイプ継手が作製できた。テーパー形状は通常形状より界面変形が大きいため、継手はより高い界面強度を有していると考えられる。
また、本技術は、大阪大学藤井先生らが推奨する固相接合技術 「圧力制御通電圧接」を併用できる。この技術は、抵抗接合の一種で、被接合材同士を適切な圧力で押さえつけることで接合面の温度を制御する技術である。通常の溶接と異なり金属の融点未満の温度において金属が溶融せずに固相のまま変形して接合するので、熱影響部の発生や異材接合での金属間化合物の発生を抑制でき、非常に高強度、時には母材強度を保った金属の接合が可能である。
内壁のバリが出ない、強度が高い、を両立するパイプ材・中空材の製造を可能にします。

Expectations

  • 本技術を採用したパイプ材・中空材の接合装置を開発されたい企業様がいらっしゃいましたら、大阪大学と共同での装置開発をご提案いたします。貴社がお持ちの通電接合技術、加圧装置技術を活用した新規事業・製品としてぜひお考えください。
  • 本技術を利用したパイプ材・中空材の接合を必要とされる企業様がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。貴社が使用するパイプ材や中空シャフトなどについて接合可能かを大阪大学と共同で研究開発する体制をご提案いたします。

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