Advantages
被曝量を低減して高精度のCT画像を取得できる「インテリアCT」技術において、CT画像の再構成時に原理的に生じるアーティファクト(誤差)の問題を解決し、アーティファクトなしのインテリアCT画像を取得できる。
Background and Technology
通常のCTと異なり、検査対象の内側の一部分のみをカバーするX線ビームを照射して画像を取得する技術が「インテリアCT」である(右図)。この手法によれば、例えば、がん腫瘍のある臓器や血管が梗塞した脳や心臓などに制限してX線を照射し、それ以外の部位の被曝なしに検査できる。これにより、通常のCTと比べ被曝量を大幅に抑えられる。また、工業用CT装置においては、検査のために試料サイズをトリミングする必要なく、半導体素子中の欠陥や異物の確認を簡便に測定することができる。
インテリアCTはこうした大きなメリットを持つ技術である。しかしながら、インテリアCTにおいては、その画像の再構成(X線ビームの照射により得られた投影データから、断面画像を算出すること)の手法が確立されておらず、得られるCT画像にアーティファクト(誤差)が生じてしまうという根幹的な問題があった。実は、この問題はインテリアCTに限らず通常のCTにおいても起こる。すなわち、肥満体型患者や大型の部材を検査する際にX線ビームが検査対象をカバーしきれない場合にインテリアCTと同様の状況となることから、このアーティファクトの問題はCT技術において解決すべき一般的なものと言える。
この度、筑波大学の工藤教授らは、このインテリアCTで生じるアーティファクトを大幅に削減・除去できる数学的に厳密なCT画像の再構成技術を完成した。従来の検査手法や装置を大きく変えることなく、インテリアCT撮像データにプラスアルファの僅かな情報を加えるのみでアーティファクトなしのCT画像を再構成できる。その結果、インテリアCTの持つ特長を最大限に発揮し、高精度・低アーティファクトのCT画像を、被曝量を大幅に抑えて取得できるようになる。
Data
ヒトの胴体と脳に対しインテリアCT測定を行ったのち、従来方法と本技術の方法でCT画像を再構成した。その結果、従来方法ではアーティファクト(誤差)のためほとんどの情報が欠落したが(右図中央)、本技術の方法では、通常のCT画像と遜色ない高精度のインテリアCT画像が取得できた(右図右側)。この際のX線被曝量は通常のCTに比べて1/4~1/8に相当する。
Expectations
本技術をライセンス導入し、インテリアCTが可能なCT装置(医療用・歯科用・工業用)を開発・販売するメーカー様を探しています。秘密保持契約の締結により具体的な画像再構成方法を開示できます。
Researchers
工藤 博幸 教授(筑波大学システム情報系情報工学域)
以下のフォームからお問い合わせください