血管バリアを標的とする感染症治療薬の共同開発

2022/11/14 14:21 By Tech Manage

血管内皮細胞間のタイトジャンクションを形成するClaudin-5(CLDN5)機能を亢進し、
新型コロナウイルスを含む病原体による血管バリア破綻を防止

Advantages

  • 新型コロナウイルス感染患者肺においてCLDN5発現量低下と血管バリア破綻を確認済
  • CLDN5発現増強効果のある既存薬フルバスタチンによる血管バリア破綻抑制を確認済
  • 重症患者で血中CLDN5濃度が低下し、バイオマーカーとなる可能性を確認済
  • 独自のCLDN5結合アッセイ系による新規低分子化合物のスクリーニング
  • 独自の血管バリア破綻モデルアッセイ系による新規候補化合物の評価
  • 血管バリアを制御する複数の抗体および低分子化合物を取得済

Background and Technology

CLDN5は細胞タイトジャンクションを担う分子であり、血管内皮細胞等のタイトジャンクションに発現しており、肺微小血管内皮細胞や脳微小血管内皮細胞に発現し血液脳関門にも関与する。
私たちは、独自の血管バリア破綻モデル系である気道チップを用いて、SARS-CoV-2が血管内皮細胞のCLDN5発現を抑制し、血管内皮細胞間の接着を減弱させることで、血管内皮バリアを破壊することを見出した。実際に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 患者の肺においてCLDN5発現量が減少していることを確認した(右図)。さらに血管内皮細胞のCLDN5発現量を遺伝子導入や低分子薬(フルバスタチン)で増加させることで、SARS-CoV-2による血管内皮バリア破壊を抑止できることを確認した。これらのことから、CLDN5を標的とした化合物が、新型コロナウイルスを含む感染症の重症化や罹患後症状の治療薬になり得る可能性を見出した。
私たちは、CLDN5の機能や発現を制御する抗体や低分子化合物を複数保有しており、上記以外にも血液脳関門の透過性を高めて脳内に薬物を送達する技術や中枢神経疾患による血管バリア破綻を抑制する技術の研究に取り組んでいる。

Expectations

  • 現在まで、気道チップおよび患者肺において新型コロナウイルスによる血管バリア破綻を確認、CLDN5遺伝子導入およびフルバスタチンによりCLDN5亢進による治療コンセプトを実証済
  • 本治療コンセプトに基いて、私たちが保有する独自のアッセイ系やツールを用いて、治療薬やバイオマーカー測定系を開発する協働パートナーを募集中

Publications

Researchers

岡田欣晃 准教授(大阪大学大学院薬学研究科)


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