網膜神経節細胞に発現する光受容体分子メラノプシン(Opn4)の選択的アンタゴニスト低分子化合物。非視覚的な光応答を抑制し、光応答が関与する疾患の改善薬や光遺伝学の研究試薬に応用可能。
Advantages
- 既存のOpn4アンタゴニストOpsinamide(AA92593研究試薬)より阻害活性が強い
- 細胞毒性はなく、視覚機能に影響なし
- 点眼等の局所投与が可能
Current Stage and Key Data
- in vitro:本アンタゴニストは、マウスおよびヒトのメラノプシン活性を、Opn4活性化物質レチナール存在下でも阻害した(AA92593はレチナール存在下では阻害できなかった)。
- in vivo:本アンタゴニストをヒトOpn4発現組換えマウスの硝子体に投与すると、対光反射(瞳孔収縮)を抑制した。また、体内時計のズレの緩和や耐糖能の改善効果を示した。
Partnering Model
概日リズム障害、片頭痛、糖尿病の改善薬の開発や研究試薬の販売に注力する企業とパートナーシップを希望。
共同研究および商用ライセンス供与が可能。
- パートナー候補例:製薬/バイオテック企業、研究試薬企業
Background
網膜に存在する光感受性タンパク質であるメラノプシン(Opn4)は、青色光に最もよく反応し、ヒトを含む哺乳類の光に対する生体反応に中心的な役割を果たしている。特に非視覚応答にメラノプシン発現網膜神経節細胞(mRGC)は必須である。非視覚応答には、光が目に入力した際の瞳孔収縮、概日時計、睡眠、気分や学習能力の調節などが含まれ、Opn4遺伝子破壊マウスはこれらの応答に異常を示す。片頭痛患者の光による痛みの増悪はメラノプシンが原因であることやメラノプシンを介する明暗環境が血糖値制御に影響することも報告されている。そのため、メラノプシンは睡眠障害などを含む概日リズム障害、片頭痛、糖尿病の創薬ターゲットになると期待される。
Patents
特許出願済未公開
Publication
論文投稿準備中
Researchers
羽鳥 恵 特任准教授(東海国立大学機構 名古屋大学 トラスフォーマティブ生命分子研究所)
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