粒径および成分が均一に制御され、任意の膜タンパク質を搭載した人工エクソソームおよびその製造方法。
Advantages
- 品質(粒径・成分・膜タンパク質)が均一であり、標準粒子として使用可能
- 細胞から抽出するよりも数百倍効率的(多種類および大量合成)
Background and Technology
生体内で細胞から分泌される細胞外小胞のうちエクソソームと称されるものは、粒径30~200nm程度の非カチオン性脂質ナノ粒子であり、内部に核酸やタンパク質を内包し小胞膜には膜タンパク質が存在している。この膜タンパク質はエクソソーム粒子の細胞間輸送に関わっており、その種類や組み合わせによって特定の臓器や細胞にエクソソーム粒子が多く輸送されることが知られている。そのため、エクソソーム粒子は診断マーカーとしての利用が期待されている。例えばがん細胞から分泌されるエクソソーム粒子は特徴的な成分組成になっていることが知られており、エクソソーム粒子を分析対象としたリキッドバイオプシーは低侵襲ながん診断方法として期待されている。
しかし生体サンプルから得られるエクソソーム粒子群の多様・不均一性が、エクソソームの診断マーカーとしての有用性検証において大きな妨げになっており、これを正しく検証するためには分析時の標準試料となる均一なエクソソーム粒子群又はエクソソーム様粒子群含有液が必要となる。
私たちは、脂質組成およびタンパク質と脂質の比率を制御し、マイクロ流体デバイスを用いて脂質の溶媒であるエタノールを迅速に希釈することで、タンパク質の変性を抑制しつつ、脂質二重膜へのタンパク質の再構成と脂質ナノ粒子の粒径制御を実現した。
Data
- 粒径・成分・膜タンパク質を制御した人工エクソソームの製造方法を確立済
- 製造したsiRNA含有エクソソームによるin vivo ノックダウン効果を確認済

Expectations
- エクソソーム標準粒子に関する独占ライセンスパートナーを募集中。
- 評価のためにCDA/MTA/共同研究契約 を締結してフィージビリティスタディを実施可能。
Publications
- 学会発表:The 27th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences (MicroTAS 2023)
Patents
- 特許出願公開:WO2023/162903
Researchers
真栄城正寿 准教授(北海道大学大学院工学研究院)
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