RASを標的とする融合タンパク質抗がん剤

2024/08/09 15:17 By Tech Manage

RAS結合ドメイン・細胞膜透過ペプチド・第三のドメインを結合した融合タンパク質Xが、活性型RASの機能を阻害し分解する。

Advantages

  • 難標的(Undruggable)であるRASを抑制・分解。
  • G12C変異型RAS以外のRAS全般(Pan-RAS)に適用可能。

Current Stage and Key Data

  • 早期の非臨床研究段階。
  • リード化合物(融合タンパク質X)が、in vitroでRAS機能を抑制しRAS量を低減することを確認済
  • Syngeneicな担癌モデルマウスにXを静脈投与することで高い抗腫瘍効果を示すことを確認した(右図参照)。


Partnering Model

  • 融合タンパク質 X の独占ライセンスパートナーを募集中。
  • 評価のためにCDAやMTA を締結してフィージビリティスタディを実施可能。
  • 更なるタンパク質化合物の最適化研究が必要な場合は、共同研究を実施可能。

Background and Technology

RAS (H-Ras, K-Ras, N-Ras) はがんの約30%で活性型に変異しているがん遺伝子であり、Ras阻害剤の開発が世界中で進められてきた。しかし、低分子化合物を含めた多くの試みが失敗に終わっている。2021年にG12C変異型Rasを阻害する低分子化合物(ソトラシブ)がFDAで認可された。ソトラシブの独創的な特徴は、Rasの変異したシステイン残基と共有結合を形成することにより、機能阻害する点である。しかし、残り約90%を占める“Non-G12C”変異型Rasはいまだ創薬展開が困難な標的である。
私たちは、2020年にRAS結合ドメイン(RBD)と細胞膜透過ペプチド(CPP)を融合したタンパク質が、RASと下流シグナル分子間の結合を阻害することを報告したが、抗腫瘍活性が十分ではなかった (*1)。今回、新たに開発した更に第三のドメインを融合したタンパク質(X)は、活性型RASの機能を抑制するとともに、高い抗腫瘍効果を示した。

Reference

  • 論文*1:Nomura et.al., Cell Chemical Biology 28, no. 11 (2021): 1581-1589.
  • 特許出願*1:WO2022/039026
  • 新たな融合タンパク質X:論文投稿済、特許出願済(未公開)

Researchers

本田諒 准教授(東海国立大学機構 岐阜大学 大学院連合創薬医療情報研究科)
※人工タンパク質の設計・合成が専門


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