様々な種類の植物の半数体誘導株を単一遺伝子の導入により容易に作出する方法。作出した半数体誘導株により、様々な植物の有用株の半数体を得ることができ、それを倍加すれば、迅速に有用株純系を育種できる(倍加半数体育種法)
Advantages
- これまで特定の植物種にしか使えなかった半数体育種法が、本技術により様々な植物種で容易に実施可能。
- 半数体誘導株は遺伝子導入によって得られるが、半数体誘導によってそのゲノムは除去されるため、倍加半数体には残らず安全。

Current Stage and Key Data
- シロイヌナズナに特定遺伝子を導入することにより半数体誘導株を作成できることを例証済み。
- シロイヌナズナのgl1劣性変異体(葉の表面の毛状構造であるトリコームをもたず、芽生えでの迅速スクリーニングに有用)と半数体誘導体を交配することで、gl1表現型を示す株、すなわち半数体誘導株のゲノムが除去された半数体を取得できた。ゲノム倍加も実証済み。
- 本技術に利用する特定遺伝子は被子植物の間で保存されており、シロイヌナズナ以外の植物にも適用可能。
Expectations
トマトや大豆などの有用植物において、本技術を適用し、半数体誘導株を開発・作成・提供する企業、および半数体誘導株を用いた迅速な新品種の育種に取り組む企業とパートナリングを希望。共同研究などフィージビリティスタディ・ライセンス供与が可能。
- パートナー候補例:植物の品種改良に取り組む企業(種苗企業、植物工場、植物バイオエンジニアリング企業、穀物・野菜生産企業、食品企業、花卉・緑化・造園企業、など)
Background
半数体育種法は、人為的に半数体植物を作り出し、その染色体を倍加させることで迅速に有用株の純系個体を作り出すことができる重要な育種技術である。これまでに、ムギ類において属間交雑により半数体を得る方法(バルボッサム法)やタバコなど限られた植物における葯・胚珠培養による半数体植物の確立法が用いられている。しかしながら、これらの技術は一部の植物・条件でしか実現できないため、様々な植物に汎用的に用いる技術としては実用化されていない。本発明は、半数体誘導株を数多くの植物種で樹立することを可能とするものであり、半数体育種法の適用範囲と枠組みを拡大する技術である。
Patents
【特許】出願済み(未公開)
Publication
【論文】投稿準備中
Researchers
武内秀憲 (東海国立大学機構 名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所)
※現在は、東京大学大学院総合文化研究科に所属
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