メモリー様NK細胞を生体内で誘導する抗がん治療

2024/01/30 10:42 By Tech Manage

STING-LNP+CpG-ODNにより、in vivoでメモリー様NK細胞を誘導し、がんを治療・予防する

Advantages

  • NK細胞に比べて長期的に効果維持するメモリー様NK細胞を生体内誘導する新たながん免疫療法およびがん転移予防法

Background and Technology

NK細胞は自然免疫を司る細胞であり、高い細胞障害性とサイトカイン産生能を有しているため、がん免疫療法の対象として研究開発されている。一方でNK細胞は短命であり、また抗原に依存しない細胞傷害性を示すとされていた。最近、抗原特異的な記憶を持つNK細胞、即ちメモリーNK細胞が存在することが報告され、更にin vitroでメモリー様NK細胞を誘導できることが報告されて注目されている。しかしながら、生体内でメモリー様NK細胞を誘導する方法はこれまで知られていない。
私たちは、がん免疫応答開始に必須な自然免疫センサーであるSTING(インターフェロン遺伝子刺激因子)アゴニストを搭載したLNP(脂質ナノ粒子)が、in vivoでNK細胞を活性化することを報告している1)2)。今回、TLR9(Toll様受容体9)アゴニストであるCpG-ODNを併用投与することにより、in vivoでメモリー様NK細胞(CD11bhigh CD27low)を誘導できることを世界で初めて見出した(右上図)。更にSTING-LNP+CpG-ODNの併用投与がメモリー様NK細胞の誘導を介してメラノーマの肺転移を予防することを実証した(右下図)。

Expectations

  • 動物実験によりSTING-LNP+CpG-ODNがメモリー様NK細胞の誘導を介してメラノーマの肺転移を予防的に抑制することを実証済。
  • STING- LNP+CpG-ODNをがん治療・転移抑制剤として前臨床・臨床開発するパートナー企業を募集中。

Publications

Researchers

中村 孝司 准教授(北海道大学大学院薬学研究院)


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