接着タンパク質の接着性制御剤および接着剤

2024/02/27 16:00 - By Tech Manage

タンパク質チロシン残基由来の接着性DOPA・DOPAキノン形成を制御する遮蔽物質融合チロシナーゼと配列特異的プロテアーゼ

Advantages

  • 化学物質を含まない天然物由来接着剤
  • 湿潤条件下や水中で接着可能
  • 任意のタイミングで接着性を発現

Background and Technology

DOPA(L-3,4-Dihydroxyphenylalanine)は、貝(イガイ等)の足糸構成タンパク質に多く含まれており、金属とキレート形成、DOPA同士でカップリング、有機組織表面の求核剤と共有結合を形成し、水中でも優れた接着力を発揮する。DOPAはタンパク質チロシン残基がチロシナーゼによって酸化されることで形成され、更に酸化されることで形成されるDOPAキノンによるキノン架橋も接着に関与する。シルクタンパク質はチロシン残基を多く含んでおり、チロシナーゼを作用させることで接着性を発現することが報告されている。また、チロシナーゼの作用により、羊毛等の天然繊維をコラーゲンなどと架橋させることにより、繊維の耐久性が高まることが報告されている。
私たちは、タンパク質チロシン残基のDOPA・DOPAキノンへの変換を任意のタイミングで開始できる融合チロシナーゼとプロテアーゼを開発した。これにより、チロシン残基を含むタンパク質(シルクタンパク質など)と融合チロシナーゼの混合物にプロテアーゼを作用させることで、湿潤条件や水中でも任意のタイミングで接着力が発揮される接着剤を可能にした。

Expectations

  • 基材タンパク質と融合チロシナーゼにプロテーゼを作用させることで架橋が進むことを確認済。融合プロテアーゼは少なくとも6か月は保存可能。
  • 今後、各種用途(建材・機械・医療品・食品・化粧品)にあわせた強度の検証を予定。
  • 本技術の用途開発および保存安定性・強度・大量調製の研究開発に取り組む協働パートナー企業を募集中。

Patents

  • 特許出願済(未公開)

Researchers

大野 敏 准教授(岐阜大学 工学部、One Medicine創薬シーズ開発・育成研究教育拠点)

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