scFv分子内のVH-VL間の相互作用を増強し、分子間の会合性を抑制し、抗原に対する結合活性を高めるペプチドリンカー
Advantages
- VHとVLを連結する従来のリンカーを本リンカーに置き換えるのみ
- あらゆるscFvに適用可能な汎用的プラットフォーム技術
- 環状scFv、タンデムscFv、Fc融合、アルブミン融合、CAR-T等への応用も可能
Background and Technology
一本鎖抗体(scFv: single-chain Fv)は、抗体の重鎖由来のFvドメインVHと軽鎖由来のFvドメインVLをペプチドリンカーにより連結した低分子抗体(25kDa)である。多くのペプチドリンカーは、1つ以上のグリシンおよびセリンの反復モジュールから構成され、 (GGGGS)×3の15アミノ酸から成るペプチドリンカーを用いるscFvが最も一般的である。scFvのVHとVLは分子内で相互作用した閉状態と、VHとVLが解離した開状態として存在する。開状態のscFvは分子間でVHとVLが相互作用することで会合凝集を起こし、scFvの安定性に影響する。
私たちは、scFv分子内のVHとVLの界面の保存性の高い領域に結合する独自のペプチドリンカーを開発した。同リンカーは、複数種のscFvにおいてVHとVLの分子内相互作用を増強し、抗原結合活性を損ねることなく分子間会合・凝集を抑制した。
Expectations
- 医薬用を含む複数種の既存抗体について、それぞれのVHとVLを独自のペプチドリンカーで結合した複数種のscFvを大腸菌で作製し、分子間の会合性低下や抗原への結合活性を確認済。
- scFvの熱安定性を向上させる変異体のin silico設計法についても構築済み。
- 独自のペプチドリンカーを用いたscFvを応用した医薬品の開発に取り組む協働パートナー企業を募集中。
Patents
- 特許出願中(未公開)
Researchers
森岡 弘志 教授(熊本大学大学院生命科学研究部 生命分析化学分野)
小橋川 敬博 准教授(熊本大学大学院生命科学研究部 生命分析化学分野)
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