近赤外蛍光色素

2024/05/28 16:02 By Tech Manage

トロピリウムイオンを含む近赤外吸収および蛍光色素

Advantages

  • 近赤外領域にあたる約 700 nm の光を吸収し、 800~900 nm の蛍光を発する分子群。
  • 高いモル吸光係数(ε)と大きいStokesシフト。
  • 溶液だけでなく、薄膜中でも強く発光。

Background and Technology

紫外領域や近赤外領域等、肉眼で見えない波長領域に光吸収を示す化合物は、セキュリティインクやセンサー材料等の用途が見込まれる。また、近赤外領域はヘモグロビンや水の吸収が弱く、細胞組織透過性が高いことから生体の窓と呼ばれている。そのため、生体蛍光イメージングや光線力学療法、光熱療法等の用途で、近赤外領域の光を吸収及び発光する分子が注目されている。
従来の近赤外色素としては、希土類金属を含むナノ粒子や、鉛、カドミウム等を含む量子ドット、イリジウムをはじめとするレアメタルを含む金属錯体等が知られている。これらに対し、有機物からなる蛍光色素には、柔軟、軽量、安価、毒性の低減等の優位性を期待することができる。近赤外領域に吸収及び蛍光特性を示す有機色素の例は限られており、その代表例はシアニン化合物やベンゾビス(チアジアゾール)化合物である。しかし、高いモル吸光係数(ε)と大きいStokesシフトを併せもつ近赤外蛍光有機色素は非常に珍しい。
私たちは、近赤外蛍光色素として高いモル吸光係数(ε)と大きいStokesシフトを併せもつ新たなトロピリウム化合物およびその合成方法を開発した。


Expectations

  • 現在、新規なトロピリウム近赤外蛍光色素を合成し、基礎的な物性を確認した段階
  • 本化合物およびその誘導体を用いて、用途検討・評価・開発に取り組む協働パートナー企業を募集中。

Patents

  • 特許出願済(未公開)

Researchers

  • 村井征史 准教授(名古屋大学大学院理学研究科)


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