潜伏感染再活性化剤を⽤いた抗HIV併⽤治療

2023/05/26 19:17 By Tech Manage

新たなHIV潜伏感染再活性化剤である天然化合物、およびそれを用いた抗HIV併用治療

Advantages

  • HIV潜伏感染細胞に対する高い再活性化能と選択的アポトーシス誘導能
  • 既存抗HIV治療薬との併用でHIV潜伏感染細胞を完全に除去
  • 大量合成可能

Background and Technology

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に対して、逆転写酵素阻害剤・プロテアーゼ阻害剤・インテグラーゼ阻害剤等の多剤併用療法(cART)が、後天性免疫不全症候群(AIDS)発症を抑制し、奏功している。しかし、HIVのDNAがゲノムに組み込まれた潜伏感染細胞(リザーバー細胞)は患者体内から除去することはできず、cARTを中断するとHIVが再び増殖を始め、AIDS発症する恐れがある。そのため、患者は一生cARTを継続する必要があり、副作用やコストが問題になっている。
リザーバー細胞排除の方策として、潜伏感染再活性化剤(Latency-Reversing Agent/LRA)により再活性化し、その後抗HIV薬で殺傷して排除する「Shock and Kill」というアプローチが報告されている。これまでLRAとしてヒストンデアセチラーゼ阻害剤やプロテインキナーゼC活性化剤等が知られているが、承認されたものは無かった。
私たちは、既存のLRAを上回る好ましい特性を有するLARを、熊本大学の天然物ライブラリーからスクリーニングし、その有効性をin vitroおよびin vivoで確認した。

Expectations

  • 開発化合物C2により、in vitroでアポトーシスによりリザーバー細胞が消滅し、抗HIV剤CXと併用により、CX投与中断後もウイルスが培養上清に出てこないことを確認(既存LARのPEP005より高い効果)(上図)。またin vivoリザーバー細胞活性化評価モデルで、実際に活性化でき、BRD阻害剤JQ1との併用でその効果が増強することを確認(下図)。
  • 開発化合物C2は、リザーバー細胞のウイルスゲノムを非感染性に断片化させる作用があることが示唆され、薬物動態と霊長類モデル実験を計画しており、協働パートナーを募集中。

Patent

  • 特許出願:WO2022/186391

Researcher

三隅将吾 教授(熊本大学大学院薬学教育部)


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