抗赤痢アメーバ剤・抗がん剤・抗肥満薬

2023/10/31 11:50 - By Tech Manage

様々な疾患に対する治療効果を示すMetAP2阻害活性を持つ新規オバリシン類縁体化合物とその合成方法

Advantages

  • 経口投与でMetAP2阻害効果が高い(動物実験で実証済)
  • 化合物の誘導体構造展開の発展性が広い

Background and Technology

オバリシンの類似化合物である微生物代謝物フマギリンは、タンパク質合成に関わる重要な酵素MetAP2の阻害効果を持つ。MetAP2阻害剤は、抗赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)活性、血管新生阻害による抗がん効果や抗肥満効果を有する。これまで複数の製薬企業がフマギリン誘導体を合成し開発したが、副作用の懸念により臨床試験第2相あるいは第3相で中断した。
オバリシンは、冬虫夏草の成分として知られており、フマギリンと骨格構造の一部が違うが同様にMetAP2阻害効果を有する。私たちはオバリシンの生合成経路を世界で初めて同定し、生合成工学的アプローチにより、オバリシン前駆体化合物を大量に生合成する方法を開発した。オバリシン前駆体化合物は、天然型のオバリシンの5-6倍高い抗赤痢アメーバ活性(in vitro)を示した。更にオバリシン前駆体から誘導体を人工合成し、薬物動態を改善し、動物実験(経口投与)で高い抗赤痢アメーバ活性を示す新規化合物を開発した(図)。これらのオバリシン前駆体や誘導体化合物は、フマギリン誘導体の問題であった副作用を改善した抗赤痢アメーバ剤、抗がん剤、抗肥満薬の薬剤シード/リード化合物になる可能性がある。

Expectations

  • 研究室合成の化合物についてin vitroおよびin vivoでMetAP2阻害活性と抗赤痢アメーバ活性を実証済。抗がん効果、抗肥満効果の実証研究を計画中。
  • 赤痢アメーバ・がん・肥満等の疾患に対する治療薬シード化合物/リード化合物に興味がある企業とのパートナーシップを募集中。
  • 研究室から化合物を提供可能。CDA/MTAにより評価・フィジービリティスタディが可能。

Publication

  • 学会発表済み

Patent

  • 特許出願済み(未公開)

Researcher

恒松 雄太 准教授 (名古屋大学大学院生命農学研究科)


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