わずか連続30拍程度の心電図データから発作性心房細動のリスク・重症度を診断できるAIプログラムを搭載した装置
Advantages
- 従来のホルター心電図(24時間)よりも圧倒的に短時間で診断でき、患者と医師の負担が減少する
- 無症状の被検者の検査が可能となり、健康診断により潜在患者を検出することができる
Background and Technology
心房細動(AF)は、脳梗塞または心筋梗塞を引き起こす原因のひとつであり、心房細動を早期に発見することは重要である。従来の発作性AFの診断は、ホルター型心電図により24時間~数日間にわたって心電図(ECG)波形を連続記録し、発作時と思われる心電図波形をピックアップして診断するものである。症状があったときに携帯型心電計を前胸部にあてることにより、その場の心電図波形を記録し、後日その波形を医師に診てもらうケースもある。いずれも患者や医師に負担をかけるものである。最近では心電図機能付きのスマートウォッチによる不整脈の検出も可能になりAF診断の補助に活用できるようになり、患者や医師の負担減の取組みがなされている。しかしながら、不十分である。さらに、無症状の潜在患者(心房細動をもつ患者の半数は自覚症状がない)をどのように検出するかは重要な課題である。
私たちは、AF疑い被験者75名の心電図データを学習データとして、XGBoostを用いて心拍変動(HRV)に基づくAF重症度分類モデルを開発した。本モデルは、最短で連続30拍の短時間の心電図データのみから、心房細動の重症度を正解率86.2%・偽陽性率1.53%・高度異常を正常と誤診断した率11.4%という精度で診断できた。そのため、本モデルを更に開発して実用化できれば、AF診断において、患者や医師の負担が軽減され、無症状の被検者も気軽に検査が可能であり、健康診断等に組み込むことにより、潜在患者を検出することが可能になる。
Expectations
- 現在、臨床データを基にした機械学習モデルを構築し、臨床データを用いた診断で基礎的な有効性を実証した段階
- 今後、更に臨床データを増やして性能の検証を進める予定
- 臨床用プログラムまたは装置の製品化を目指して開発を行うパートナー企業を募集中
Publication
- The 36th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2022
Patents
特許出願中(未公開)
Researcher
藤原 幸一 准教授
(東海国立大学機構 名古屋大学 大学院工学研究科 ヒューマン&プロセスシステム論研究室)
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