生体吸収性骨髄止血剤

2024/01/23 11:38 By Tech Manage

骨形成を阻害しない操作性の良い生体吸収性骨髄止血剤

Advantages

  • ハイドロキシアパタイト(Hap)を配合して触感がよく、操作性や止血能はbone waxと同等。
  • 生体吸収性のポリカプロラクトン(PCL)とポリ乳酸(PDLLA)を使用し骨形成を阻害しない。
  • 非生物由来材料であるため、生物由来材料によるウイルス感染等のリスクがない。
  • 最終的に生体吸収されるため、遺残物による細菌感染のリスクが軽減できる。

Background and Technology

胸骨正中切開などの外科処置によって骨を切断・破砕すると、骨の断面から出血することがある。その際、従来では主に骨の断面に骨髄止血剤である蜜蝋を主成分とするbone waxを塗り込む止血処置が行われている。蜜蝋は骨の再生を阻害し、生体に吸収されずに永久に残り、感染源になるリスクもあるため、骨を縫合する際に除去することが推奨されている。蜜蝋に代わるポリマー素材を用いた止血剤も開発されているが、蜜蝋と触感が違い取り扱いにくいなどの問題があった。
本発明者はこれらの問題を解決するため骨髄止血剤の開発に取り組み、主要素材として生体吸収性材料であるPCLとPDLLAを用い、さらにHapを加えて触感と操作性を向上させた骨髄止血剤を開発した。

Expectations

  • ウサギ脛骨骨欠損モデルで本発明止血剤の止血能は蜜蝋と同等であり(図1)、16週後の骨癒合状態については蜜蝋に比べて骨癒合が進んでおり、骨癒合阻害は見られなかった(図2)。
  • 本発明の骨髄止血剤を生産・供給するパートナー企業、および協働して臨床開発・応用を目指すパートナー企業を募集中。
  • 本発明者研究室では、大動物を用いた実験・解剖、吸収や骨癒着の状況を評価することが可能。また、臨床研究/臨床試験ではCTで骨再生状態を評価する予定。

Patents

  • 特許第6901721

Researchers

成田 裕司 先生 (名古屋大学 医学系研究科 診療教授)

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