パーキンソン病治療薬

2024/02/26 10:53 - By Tech Manage

αシヌクレイン(αSyn)遺伝子発現制御を通じ、凝集体形成を抑制する核酸医薬

Advantages

  • 薬効持続期間が長い
  • αSynの生理機能を維持する
  • 孤発性・遺伝性のいずれにも治療適用可能
  • 他のシヌクレイノパチーに治療適用可能

Background and Technology

パーキンソン病は、中脳黒質のドパミン神経細胞の変性により、無動・固縮・振戦を含む運動症状や精神・認知機能障害・自律神経障害などの非運動症状をきたす神経変性疾患である。従来の治療法はドパミン補充や脳深部刺激などの対症療法であるが、神経変性抑制につながる根治的治療法は創出されていない。
一方、病態の中心はレビー小体の主要構成成分であるαSynの凝集体形成と理解されており、αSyn遺伝子SNCAノックダウンを目的としたアンチセンスオリゴ核酸(ASO)の研究が報告されている。しかし、SNCAノックダウンASOは、構造上十分な薬理効果の持続期間が確保できないため繰り返し頻回投与が必要であり、パーキンソン病のような長期間投与を要する疾患では腰椎穿刺関連の有害事象リスクも憂慮される。またαSynはシナプス機能調節に関わるとされ、αSynのノックダウンによる神経生理機能の阻害が懸念される。
私たちは、αSynをノックダウンすることなく凝集体の形成を抑制する核酸化合物を開発した。SNCAノックダウンASOと比し、薬効持続期間が長く投与量・投与頻度の抑制につながり、またαSynの生理機能を維持することが特徴である。また、孤発性・遺伝性のいずれに対しても適用可能があり、他のシヌクレイノパチー(レビー小体型認知症、多系統萎縮症)の治療にも拡大適用される優位性を有する。

Expectations

  • 人工修飾核酸を含む独自の核酸化合物が、αSynの凝集の原因を抑制し、同時にαSynの発現を制御することをin vitro、in vivoで確認済。
  • 現在、モデルマウスを用いて核酸化合物の神経変性抑制・運動機能改善などの効果を検証中。
  • 今後、非ヒト霊長類における核酸化合物の薬物動態・安全性検証を行い、臨床試験へ展開予定。
  • パーキンソン病に対する核酸医薬の非臨床・臨床開発の協働パートナー企業を募集中。

Patents

  • 特許出願済(未公開)

Researchers

勝野 雅央 教授(名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科学)


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