FOP患者において外傷をきっかけとして起こる異所性骨化の新たな治療標的パスエウェイおよび治療薬
Advantages
- FOPは、単一原因遺伝子変異による遺伝性難病であり治療が困難
- 本発明は、従来のBMP-ALK2パスウェイとは違う、新たな治療標的分子・パスウェイ
- 承認済薬剤のリポジショニングまたは新薬の開発が可能
- FOP患者由来iPS細胞を用いたアッセイが可能
Background and Technology
FOPは遺伝性疾患であり、患者は、子供の頃から外傷等をきっかけとして、全身の筋肉やその周囲の膜、腱、靭帯などが徐々に硬くなって骨に変わり(異所性骨化)、手足の関節の動く範囲が狭くなったり、背中が変形したりする。FOPの原因は、骨誘導因子BMPの受容体ALK2の遺伝子変異による骨形成シグナルの常時活性化である。異所性骨化の進行を防ぐ薬剤として、ステロイド、非ステロイド性消炎鎮痛薬、ビスフォスフォネート等が使われるが有効とは言えない。最近になってレチノイン酸受容体γ作動薬が新たにFDA承認され、またBMP-ALK2パスウェイを抑制する抗アクチビン抗体やALK2阻害剤が臨床開発中である。しかし、BMP-ALK2パスウェイは正常な骨形成に必要であるため、副作用の懸念がある。
私たちは、FOP患者由来の皮膚線維芽細胞からiPS細胞を樹立し研究した結果、外傷をきっかけとする異所性骨化のメカニズムを解明し、新たな治療標的パスウェイを発見した。当該パスウェイ・標的分子を阻害することにより、異所性骨化が抑制されることをin vitroおよびin vivoで実証した。
Expectations
- FOP患者皮膚線維芽細胞由来iPS細胞を免疫不全マウス精巣内に移植したテラトーマ骨化進行モデルマウスにおいて、治療標的分子の阻害またはsiRNAによるノックダウンにより、骨化進行が抑制されることを実証。(図)
- CDA/MTA/共同研究による技術評価・フィージビリティスタディが可能。
- 新薬開発または既存薬リポジショニング開発に取り組むパートナー企業を募集中。
Patents
- 国際特許出願WO2017/086385
Researchers
江良 択実 教授(熊本大学発生医学研究所)
Please click here to see English summary.
以下のフォームからお問い合わせください