PBMCを用いた肝細胞がんに対する免疫療法の効果予測マーカー

2024/05/13 11:06 - By Tech Manage

CD14+単球/CD4+T細胞サブセットを指標にアテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法などの複合免疫治療の治療効果を予測する

Advantages

  • 選択肢は多いが奏効率がいずれも3割程度である、肝がん薬物療法の第一選択薬の精度の高い効果予測が実現する
  • 肝がん患者の免疫状態を次世代シーケンサーで評価可能

Background and Technology

進行肝細胞癌の薬物療法は複数の免疫チェックポイント阻害薬が使用可能となっている。中でもアテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法(Atezo/Bev)は、抗PD-L1抗体と抗VEGF抗体を併用した複合免疫療法として第一選択薬として用いられている。これまでに腫瘍微小環境におけるCD8陽性T細胞の存在が治療効果に影響を与えることが報告されているが、全身の免疫動態とAtezo/Bev療法の奏効の関係については明らかではく、事前に効果を予測することは難しい。
発明者らはAtezo/Bev療法を導入された患者の中で、奏効5例と初期無効5例を抽出し、scRNA-seq解析により、進行肝細胞癌患者の免疫動態のプロファイリングを行った。その結果、奏効例では治療前のCD4陽性T細胞のうちCCR7陽性、TCF7陽性のナイーブメモリーT細胞サブセットの頻度が高く、CD14陽性単球のうちCCL2陽性、CXCL2陽性サブセットの頻度が低かった。これにより、治療前のPBMCにおける免疫動態を解析することにより、進行肝細胞癌患者における複合免疫療法の治療効果を予測できる可能性が示唆された。

Data

  • 2*10^6個のPBMC中のシーケンスを各遺伝子マーカーに基づき16のサブタイプに分類した結果、奏効例では治療前のナイーブメモリーCD4T細胞の頻度が高く、CCL2陽性、CXCL2陽性CD14+単球の頻度が有意に低かった。

Expectations

本発明のライセンスを受けて肝がん患者に対する薬剤の奏効率診断技術を開発する診断薬企業、バイオテック企業を探しています。特に次世代シーケンサーを用いた診断技術の開発やPBMCの解析に関心のある企業とのコラボレーションに期待します。

Patents

特許出願中

Researchers

小玉 尚宏 先生
大阪大学医学研究科消化器内科


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