基板上にプリントした液滴レーザー(RGB)を電場で制御可能な次世代ディスプレイの基盤技術
Advantages
- 対向電極と液滴で完結するシンプルな構成
- 液滴は化学的・熱的に極めて安定なうえ、機械的に安定で振動や衝撃に耐えられる。
- インクジェットプリンタ技術で極めて簡単に大規模レーザーアレイを作成できる
Background and Technology
ディスプレイ技術は、ブラウン管から液晶、プラズマ、有機EL、量子ドットへと、新たな発光素子の開発とともに進歩してきた歴史をもつ。レーザーディスプレイは、高輝度と広色域なレーザー光を使って鮮明な画像を生成し得る次世代のディスプレイ技術として期待されている。これまで、①有機レーザーインクを基板にプリントしたピクセルに、励起ビームを走査して発光させる光走査型(doi.org/10.1038/s41467-019-08834-6)②有機レーザー薄膜を電流制御によって発光させる電流励起型(doi.org/10.7567/1882-0786/ab1b90)などの技術が提案されている。しかし、光を走査するためのスペース(光走査型)や固体素子の作成難易度(電流励起型)など、大画面のディスプレイを作成する上での技術的な障壁がいくつも存在する。発明者らは極めて安定な100%液体のレーザー光源を開発した(https://doi.org/10.1002/lpor.202200874)。この微小な液滴レーザーは弱い力で変形することから、電場のOn/Offでレーザー発光制御が可能である。RGBの有機液滴レーザーをプリントし励起光により発光させたうえで、液晶ディスプレイ同様に電場で各ピクセルのRBGレーザー発光を制御する方法を考案した。現在、On/Off比向上や多色化技術の開発に取り組んでおり、実現すればプロセス性に優れた新しいタイプのレーザーディスプレイとして実用化が期待できる。
Data
- レーザー色素を含む不揮発性のイオン液体を、超撥水性表面を持つ基板上にほぼ真球の形状で保持することで実現した液滴レーザー(左)電場による液滴変形とRGBアレイ化によるレーザーディスプレイ

Expectations
次世代レーザーディスプレイの開発を目指した共同開発パートナー企業を求めています。特に、大量の液滴を均一にプリントする技術や、電気回路との最適なパターン形成技術、バックライトパネルと導波路の設計・作成技術を有している企業との共同研究を希望します。当ラボでは1粒レベルでの検証を完了しており、次のステップとして数万個以上の液滴をプリントし、デバイス化する必要があります。そのため、インクジェットプリンタ技術を活用し、スケールアップと電気回路との適合性について共同研究を進めたいと考えております。
Patents
特許出願中
Publication
H. Yamagishi et. al. Laser Photon. Rev. Vol 17, 5, 2200874 (2023); Adv. Mater. 37, 2413793 (2025).
Researchers
山本 洋平 先生、山岸 洋 先生(筑波大学・数理物理系)
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