局所再発と相関するp62,LC3A/Bの発現により追加切除の治療判断を補佐することができる
Advantage
- 予後不良な口腔がんの局所再発率を低下させることが期待される
Background and Technology
口腔がんの5年生存率は54.3%であり予後不良のがんといわれている。また、外科的な切除後においても約10%の患者が局所で再発することが予後を悪くする一因となっている。局所再発が予測できれば追加切除などの処置により、予後の改善に寄与することが期待されているが、局所再発を予測できる診断技術は確立してない。
口腔は外的な刺激を受けやすい器官であり、口腔がんは酸化ストレス傷害との関連が示唆されている。p62は発明者らが酸化ストレスタンパク質としてクローニングした分子で、p62の異常蓄積とオートファジーの障害との関連が知られている。口腔がんとp62との関連を研究する中で、がん組織ではなくがん周辺の正常上皮(口腔がん切除マージン部分)でのp62の発現とがんの局所再発および予後の不良が有意に相関していることが見出された。また、オートファジーの関連分子として知られているLC3A、LC3Bも局所再発および予後の不良と有意に相関していた。
口腔がん切除マージン部分においてp62やLC3A、LC3Bが蓄積している状態は、病理学的に正常と診断された正常粘膜上皮でもオートファジー異常が発生しており、口腔がんの局所再発や不良な予後に関係している可能性が高いことを明らかにした。発明者らはこれらの知見を元に、p62、LC3A、LC3Bの発現を指標とした局所再発のリスク診断法の確立と、予後改善のための追加の外科治療の診断マーカーの開発を計画している。
Data
- 口腔がん切除検体のマージン部におけるp62の発現(左図)
- マージン部におけるLC3A,LC3B,p62の発現と局所再発、予後との相関関係。
Expectations
外科切除後の治療選択診断キットの共同開発。発明者はがん組織切除の末端部p62発現と予後・再発に関する前向き臨床試験を検討しており、免疫染色用抗体・キットを提供いただける協力企業を求めています。
Patent
特許第6537095号
Researcher
武川 寛樹 教授 (筑波大学 医学医療系 顎口腔外科学)
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