作物の耐乾燥剤

2025/01/08 15:03 - By Tech Manage

気孔を閉じる作用を持つm-bis-BITCによって乾燥耐性の弱い作物を保護する

Advantages

  • 気孔の開閉を制御するという新しいコンセプト
  • 温暖化の進行から作物を保護する製品開発となる

Background and Technology

近年の温暖化によって農業環境が大きく変化している。特に高温と乾燥が増加する中、耐乾燥性が弱い作物種は特に影響を受けやすく、収穫量の減少や品質の低下が懸念されている。これらの環境変化に対応した、耐乾燥性を向上させる保護剤の開発ニーズが高まっている。 植物の気孔は温度に応じて開閉し、蒸散を通じて水分の調整を行います。特に高温条件下で気孔が開くと多くの水分が失われると、耐乾燥性の低い作物にとっては大きなダメージとなる。このことから、植物の気孔の開閉を制御し、耐乾燥性を付与する技術は魅力的なコンセプトである。
発明者らは、アブラナ目植物の天然物であるベンジルイソチオシアネート(BITC)が高い気孔開口抑制活性を示すことを見出した。BITCはツユクサやシロイヌナズナで気孔の開口を阻害することが確認され、20倍以上の強力な活性を発揮するBITC類縁体の開発にも成功した。 これら類縁体の一つであるm-bis-BITCを、土植えの植物に塗布したところ、24時間以上の乾燥耐性を付与することに成功した。また、塗布後10日経った時点でも植物体に対する悪影響は観察されなかった。

Data

  • BITCとm-bis-BITCをキクの無傷葉に塗布し、気孔開口抑制効果を測定したところ、m-bis-BITCはより低濃度での効果を発揮し、アブシシン酸(ABA)よりも持続性に優れていることが確認された(A,B)。
  • ハクサイに対してbis-BITCを展着剤添加条件下で散布し、乾燥条件下に置いたところ、24時間後での萎れの抑制効果が確認された(C)。

Expectations

耐乾燥性を付与する植物保護剤の実用化開発に取り組む農薬開発企業を募集しております。評価試験のためのm-bis-BITCなどBITC類縁体のMTAも可能です。

Publications

Patents

WO2023-210570

Researchers

相原 悠介 先生、佐藤 綾人 先生、木下 俊則 先生(東海国立大学機構 名古屋大学)


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