植物毛状根を用いたタンパク質生産

2025/10/22 11:13 - By Tech Manage

新たに見出した植物由来シグナルペプチドと植物毛状根を用いた高効率なタンパク質の分泌生産系。
生産物の回収工程が簡易化され、コスト削減に繋がる

Advantages

  • 大幅なコスト削減: 組換えタンパク質製造コストの50〜80%は下流工程(抽出・精製)が占めるとされており、本システムは分泌培養によりこれらの複雑な工程を簡略化し、コスト低減と迅速な製造が期待される
  • 高純度回収: 培養液は動物細胞系と比較して夾雑物が少なく、目的タンパク質を高純度で容易に分離・回収できる

Current Stage & Data

現在、大阪大学の研究チームではタバコ(Nicotiana benthamiana)の毛状根を用い、新規に発見したシグナルペプチド(SP)をモデルタンパク質GFPに付加し、効率的な分泌生産に成功した。培養液全体が強い蛍光を示すことから、大量かつ安定的に培養液中へ分泌されることを確認した(下図)。
図: 毛状根培養液中のGFP蓄積の様子
GFP(C):コントロール、SP1-GFP~SP4-GFP:SP付加GFP導入毛状根

Background and Technology

本技術は、毛状根の旺盛な増殖性と独自に同定したシグナルペプチドを組み合わせ、目的タンパク質を培養液中へ継続的に分泌させることを可能にする。培養液は安価な無機塩主体で動物由来成分を一切含まず、動物ウイルス混入リスクが低い安全性に優れたシステムである。従来の細胞破砕や多段階のカラム精製を不要または最小限とし、効率的かつ低コストでの高純度タンパク質生産を提供する。

Expectations

大阪大学では、本技術を活用したタンパク質の生産にご興味のある企業を探しています。
貴社が製造・利用を希望される有用タンパクに関し、本生産システムを用いた有効性検証や共同研究など、ご要望に応じた柔軟な連携が相談可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
ご興味ございましたら、次のステップとして、大阪大学との研究者との面談を調整いたします。

Patents

特許出願中(未公開)

Researchers

梶浦 裕之 助教 (大阪大学 生物工学国際交流センター) 


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