アルカリ条件下で活性の高い水素発生触媒

2025/02/04 16:04 - By Tech Manage

水電解における水素発生反応(HER)活性が高い含窒素炭素材料で被覆した白金触媒

Advantages

  • アニオン交換膜を用いた固体高分子形水電解法での活用を想定した触媒。
  • アニオン交換膜を用いた水電解法は腐食性が小さく、電極にマンガンやコバルトなどの卑貴金属を利用できるため、白金使用量の削減や低コスト化が期待される。

Background and Technology

水素は二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーとして注目されている。一方で、工業的に確立されている水素製造法は、化石燃料の改質によるものであり、製造に際し二酸化炭素を排出してしまう環境負荷の大きい方法であることが問題であった。これに対し、水の電気分解による水素製造は、太陽光や風力、バイオマス発電などにより得られる再生可能エネルギー源と組み合わせることで、環境負荷が小さい水素製造方法として期待されている。現在、カチオン交換膜を使用する固体高分子形水電解法が主流であり、酸性条件下で高い電流密度と水素発生反応(HER)活性が得られ、高効率で水素を生成することができる。しかしながら、水野電気分解と同時に触媒自体が分解されてしまう課題があり、高価な貴金属触媒が大量に必要となり、普及を妨げる一因となっている。これに対し、アニオン交換膜を使用する水電解法は腐食性が小さく、低コスト化ができる。しかしながら、アルカリ条件下でのHER活性は酸性条件下に比べ、低活性で電流密度が低く、触媒活性の向上が求められている。
これに対し、本発明者らは電解質/電極界面近傍に形成される電気二重層内のイオン種および水の機能に着目し、高活性・高耐久な電極触媒の研究開発を進めている。その結果、プリン塩基等の含窒素化合物でPtを修飾した場合、HER活性が向上することを見出した、さらに実用性の観点からPtを含窒素化合物であるindolizino[6,5,4,3-ija]quinolineで被覆で、HER活性が向上することを見出した。今後、本発明者らの研究開発が進むことでさらなるHER活性向上が期待される。

Data

  • 含窒素化合物であるindolizino[6,5,4,3-ija]quinoline(以下 IQ)を20質量%含有する電解液を用いてPtを被覆し、HER活性を測定したところ、未被覆のPtと比べてHER活性が約1.5倍向上した。

Expectations

千葉大学では、本水素発生触媒にご興味があり、本触媒を用いた研究開発プロジェクトをさらに加速させられるような共同研究をしていただける企業様を探しています。ご興味ございましたら、研究者とのお打合せ等の設定から始めさせていただきたいと思いますが、進め方についてはご希望もお伺いいたしますので、お気軽にお問合せください。

Patents

特許出願中(未公開) 

Researchers

中村 将志 教授 (千葉大学 大学院工学研究院) 

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