好熱菌用の簡便な形質転換ツール

2024/05/14 16:10 - By Tech Manage

好熱菌を用いた次世代物質生産に関する研究開発を加速させる新規コンピテントセルと新規シャトルベクター

Advantages

  • 長期間保存が可能:コンピテントセルとして保存しておけるため、従来の都度調製が不要になり、作業効率の著しい効率化を実現。
  • 高い安定性と互換性:開発した新規シャトルベクターは好熱菌・大腸菌の両方で使用可能で、好熱菌内で薬剤選択なしに長期間培養しても安定性を保持。

Background and Technology

好熱菌Thermus thermophilusは通常、50℃以上の高温環境で生育し、この特性を活かして耐熱酵素のソースやタンパク質科学の研究リソースなど、さまざまな産業分野で研究されている。また、本好熱菌は外来からのDNAの取り込み能が高いことで知られ、大腸菌と同様に遺伝子操作系が確立されており、多様な研究が可能である。一方で、市販の研究リソースはHB8株のゲノムDNAのみであり、基本的な遺伝子操作に必要な実験材料が市販されていないという問題があった。
本発明者の所属する研究室は、長年好熱菌に関する研究を行っており多くの好熱菌を収集している。そこで本発明者はその好熱菌ライブラリーから、既存のプラスミド(HB8株由来のプラスミドpTT8系)とは異なるプラスミドを探索し、好熱菌でも大腸菌でも複製可能なシャトルベクターを見出した。本シャトルベクターは好熱菌内で抗生物質等の選択薬剤の非存在下で長期間培養しても安定で、従来のpTT8系を用いたシャトルベクターよりも優れた安定性を持つ。さらに、本発明者は非常に簡単な操作で長期間保存が可能なコンピテントセルの作成にも成功した。これらのシャトルベクターとコンピテントセルは好熱菌を用いた次世代物質生産や研究の必須のツールセットであり、好熱菌の研究発展を加速することが期待される。

Data

  • 好熱菌のコンピテントセルの調製及び形質転換条件の検討を行い、長期保存可能で形質転換効率の高い最適化したプロトコルを見出した。
  • シャトルベクターIOK9は薬剤非存在下で長期間(168時間)培養しても安定であることを確認した(図1)。

Expectations

発酵技術を使った物質生産を行っている企業様、化粧品やバイオ燃料を製品開発されている企業様、試薬品メーカー様など、本技術に対してご興味をお持ちの企業様を探しています。貴社で行われている(予定の)好熱菌を用いた開発に対してコラボレーションすることも可能です。

大阪大学との秘密保持契約の締結による未公開データ等の開示や研究者との直接のご面談によるお打合せも可能です。ご希望がございましたら何なりとご相談ください。

Patents

特許出願中(未公開) 

Researchers

宮崎 健太郎 特任教授 (大阪大学 生物工学国際交流センター) 


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