診断や病勢の判定に有効な血清エクソソーム由来のガレクチン10
Advantages
- 喘息診断のゴールドスタンダードとされる末梢血好酸球数よりも診断能が高い。
- 喘息病態と密接に関わるバイオマーカーで、喘息の診断や重症化予測、治療薬の効果判定での活用が期待される。
Background and Technology
日本では継続的に治療を受けている喘息の総患者数は100万人以上とされており、全世界での総患者数は約3億人とされている。喘息は気道炎症、気道過敏性、可逆的な気流制限を特徴とする複雑な疾患である。最近では、分子標的薬としての生物学的製剤も活用可能となり、治療法も多様化しているが、臨床において使用可能なバイオマーカーは血中や喀痰中の好酸球数や呼気一酸化窒素濃度、血清IgEがあるのみで、これらは喘息の多様なフェノタイプの分類やフェノタイプに応じた治療選択には不十分であった。
本発明者らはエクソソーム中に含まれるバイオマーカーの探索を長年研究しているが、重症喘息患者の8割以上が好酸球性フェノタイプであることに着目し、好酸球性喘息の病態を強く反映するBMの探索を行った。その結果、血清中のエクソソーム由来のガレクチン10をBM候補として見出した。ガレクチン10は好酸球の主要なタンパク質であるが、好酸球病態と密接に関わるエトーシス(好酸球の細胞死)の過程で形成されるシャルコーライデン結晶の構成分子でもある。シャルコーライデン結晶は2型炎症を促進する機能も知られている。実際に、好酸球性喘息患者の肺組織や気管支周辺組織でもガレクチン10が高発現してことを明らかにした。
また、重症喘息で併発しやすい好酸球性副鼻腔炎においても、ガレクチン10は、疾患の有無だけでなく、病勢とも相関する有用なマーカーであった。
Data
- エクソソーム由来のいくつかのマーカー候補と血中好酸球をマーカーとして喘息診断能を評価したところ、ガレクチン10が一番高いことを確認した(右図)。
- ガレクチン10は、気管支壁肥厚、粘液栓産生、気流閉塞に関し、好酸球数と同等またはそれ以上に強く相関していることを確認した。
Expectations
ガレクチン10をバイオマーカーとした、喘息の診断薬や治療効果判定、コンパニオン診断等の開発にご興味のある企業を探索しています。ご興味ございましたら、本発明者とのご面談も可能です。ご質問・ご希望等ございましたらいつでもご連絡ください。
Publications
Yoshimura, H.et al., Journal of Allergy and Clinical Immunology, 2024
Patents
Researchers
武田吉人 准教授 (大阪大学 大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学)
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