V2O5高含有脱硝触媒による脱硝プロセスのエネルギー削減/低コスト化
Advantages
- 150℃で80%以上の脱硝率
- 水蒸気耐性を有する
- NOxからN2への選択率が非常に高く(99%以上)、N2Oなどの副生を大幅に低減しつつNOxを高効率に無害化
- 排ガス処理においてはバグフィルタ処理後の再加熱が不要
Background and Technology
発電所、ごみ焼却炉、化学プラント、船舶等において、モノを燃焼させるときに発生する窒素酸化物(NOx)は光化学スモッグや酸性雨の原因となるため、大気へ放出される前に取り除く必要がある。大規模ボイラにはV2O5/TiO2触媒を用いた選択触媒還元(SCR)脱硝装置が約40年間大きな変化なく使い続けられている。
SCR脱硝装置にはいくつかの問題点がある。汎用的な脱硝触媒は反応温度が350~450℃と高いため、高温のボイラ出口直後に設置する必要があるが、ばい煙処理が行われていないガスに晒されることで触媒性能が低下し、定期的なメンテナンス・交換が必要となる。ボイラ出口直後に集じん装置を設置する選択肢もあるが、一般的に集じん装置は高温環境下での使用に適さないものが多いため、プラントによっては、排ガスを一度冷却して脱硝装置前で再加熱するなど、多くのエネルギー投入を強いられている。
以上の問題解決に向け、低温触媒の開発が進められており、185℃程度で反応する触媒も開発されているが、再加熱プロセスは依然として必要である。
本研究グループでは、150℃で使用可能なV2O5高含有脱硝触媒の開発に成功し、各種試験等に取り組んでいる。この触媒を用いることにより、触媒のメンテナンス・交換頻度と排ガスの再加熱に要するエネルギー削減の両立が可能となり、再加熱に伴い発生するCO2の削減効果も期待される。
<既存触媒による排ガスフローの例> <本開発触媒による排ガスフローの例>
Current Stage
- NOやNH3、O2を含むガスに対して、本触媒は既報の脱硝触媒よりも低温である150℃の温度域で80%以上の脱硝率を示した。
- 水蒸気が共存する反応ガスに対しても、本触媒は150℃の温度域で高い脱硝率を示した。
- 長期間(約3か月)における触媒性能の耐久性試験を実施し、150℃かつ水蒸気共存条件下において、性能の低下がほとんど見られないことを確認した。
Expectations
- 本触媒粉体の製造・販売にご興味のある企業
- 本触媒の成形体開発に関する協業にご興味のある企業
- 本触媒の利用、パイロット試験等にご興味のある企業(※)
※既存プラントの改良の他、ごみ焼却発電、アンモニア/水素の燃焼など新たな燃焼システムの構築に向けた本技術の適用可能性の検討も歓迎します。
以上のような観点で本技術にご興味のある企業を探しております。ご興味ございましたら、次のステップとして、中国電力株式会社からの技術説明や協働可能性を議論するためのweb面談等を設定いたします。また、秘密保持契約締結下での追加情報提供も可能です。本触媒の評価にご興味ございましたら、サンプル提供も可能です。
Patents
- 特許第6093101号等
Research Institution
中国電力株式会社、東京都立大学
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