電子写真型プリンテッドエレクトロニクス

2024/02/20 10:47 - By Tech Manage

トナー型の印刷方式を活用したプリンテッドエレクトロニクス技術であり、インクジェット方式の弱点克服が期待される

Advantages

  • 重ね塗りに有利であり、複雑な構造の印刷が容易
  • 溶媒を必要とせず、環境調和性が高い
  • 導電性材料・半導体材料・絶縁体材料などさまざまな材料を使用可能

Background and Technology

プリンテッドエレクトロニクスは、印刷技術を用いて基板上に電子回路を形成する技術であり、既存の半導体製造技術と比較して簡便であり、材料の使用量、環境負荷、製造コストなどの低減が期待されている。また、フレキシブル基板との親和性も高く、ウエアラブルデバイスやフレキシブルセンサなどの応用に関しても盛んに研究開発が行われている。
現在、世界中で研究開発が先行しているのはインクジェット印刷方式であるが、金属、半導体、絶縁体等の電子材料をインク化する必要があるが、インク化には制限があることや、特殊な有機溶媒を必要とする場合が多く、毒性や環境への負荷も懸念されている。また、溶媒を必要とするため、重ね塗りの困難さ等もあり、インクジェット印刷方式が絶対優位を築くには至っていない。本研究者らは、インクジェット印刷方式の弱点を克服できる電子写真ベースの技術を開発している。本技術ではインクではなく、トナーを用いるため、無溶媒で印刷を行うことが可能となる。また、電子写真ベースのプリンテッドエレクトロニクス技術を実現するために、独自開発した現像剤や現像・転写・定着の各工程を見直し、超高精細な描画を目指している。

Expectations

  • 銀ナノ粒子を用いて、10 μm幅の櫛型電極の描画を行った。(上図)
  • 金、銀、銅、グラフェン、ITO、酸化亜鉛、酸化ニッケル、C8-BTBT、PSSなどさまざまな材料を用いて、パターンを描画できることを確認した。
  • さらなる高精細化を目指した技術開発も進行中。

本印刷技術の実用化や本技術で使用するトナーの改良、本技術を利用した電子回路の印刷等にご興味のある企業を探索しております。

Patents

  • 特許6731624号等

Researchers

酒井 正俊 准教授 (千葉大学大学院工学研究院)

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