ハイドロキシアパタイトにニッケルナノ粒子を担持した触媒は、アルコールをアルキル化剤とするアミンのN-アルキル化反応を促進する。
Advantages
- 高活性かつ大気中で安定な非金属固体触媒
- 様々な基質に対して適応可能
- 固体触媒であり、分離・回収・再使用が容易
- 有害なハロゲン化廃棄物が生成しない環境調和性の高い反応であり、製造コストの削減が期待できる
Background and Technology

N-アルキルアミンは、医薬品原薬、染料、ファインケミカル等に用いられる重要な物質である。アミン類のN-アルキル化反応は工業的にも重要な反応であり、ヨウ化メチルやジメチル硫酸などをアルキル化剤として用いる手法が知られている。一方で、従来の手法は変異原性物質を使用する点や有害なハロゲン化廃棄物の副生、反応選択性が低い等の問題があり、安全性や環境調和性、生産コストの面に問題があった。これに対し、入手容易なアルコールをアルキル化剤として用いる反応は、副生成物が水のみであり、環境調和性の高い反応として注目されている。この反応は、アルコールの脱水素、(ii)アルデヒドとアミンとの脱水縮合、(iii)イミンの水素化により進行する。本反応を進行させる触媒として様々な金属触媒が報告されているものの、金属触媒の安定性が乏しい、高温・高圧条件を必要とする、高価な金属触媒を必要とする、適応可能な基質がアニリンや脂肪族アミンなどの反応性の低いアミンに限定される等の問題があった。
今回、ニッケルナノ粒子をハイドロキシアパタイト(HAP: Ca10(PO4)6(OH)2)に固定化した固体触媒(nano-Ni/HAP)が極めて高い触媒活性を示すことを見出した。
Expectations
- nano-Ni/HAPを触媒とした反応により、種々のアルキルアミン(約27種類)を合成した。種々の電子求引基あるいは電子供与基を有する芳香族アルコールや脂肪族アルコールを用いた場合、反応は極めて効率的に進行した。アミンも同様に幅広い基質一般性を有し、特に複雑な構造を持つ生理活性分子にも適用可能であった。
- 本触媒を用いた反応にご興味ございましたら、研究者との面談を次のステップとして提案いたします。
Patent
- 出願中 (未公開)
Researcher
水垣 共雄 教授 (大阪大学 基礎工学研究科)
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