高密度ポリシロキサンブラシによる基材表面の高機能化

2023/05/09 11:47 By Tech Manage

表面から垂直方向に伸長されたポリシロキサン鎖による新しい基板表面方法

Advantages

  • 触媒を利用した表面開始リビング重合による簡便な手法
  • ポリシロキサン鎖の分子量分布は狭く、従来のポリシロキサンよりも優れた物性が期待される
  • 高密度なポリマー鎖は、低摩擦特性、立体反発力、優れた熱的・力学的特性などユニークな特性を発現させることが期待される

Background and Technology

材料表面を高分子化合物で被覆して表面の特性を変えることは、摩擦特性、濡れ性等の制御で重要であり、産業上多くの場面で使われている。一般的な被覆方法では高分子鎖は基板表面に対して丸まった状態であるが、高密度に高分子を被覆すると鎖が表面に対して垂直に配向し、これに起因したユニークな特性を発現することが知られている。基板に対して垂直に配向した高分子鎖はポリマーブラシと呼ばれ、基板表面への開始剤修飾とリビング重合により合成され、ビニルポリマーやスチレンポリマーなど様々なポリマーブラシが報告されている。
一方で、ポリシロキサンはビニルポリマーやスチレンポリマーなどの炭素系高分子材料にはない耐熱性や耐候性などの物性があり、様々な製品に使用されている。しかしながら、基板表面への開始剤の固定が困難なことなどから、シロキサン主鎖の高密度ポリマーブラシに関する報告例はこれまでなかった。
今回、発明者らは、基板表面を重合開始基として利用し、触媒を用いたポリシロキサンのリビング重合により基板表面に高密度シロキサンブラシを容易に調整可能なことを見出した。

Expectations

  • SEC測定により分子量分布の狭いポリシロキサンが生成していることを確認した。また、AFM測定やX線反射率測定により基板表面のグラフト膜を評価し、高密度ポリシロキサンが形成されていることを確認した。
  • Si基板上に高密度ポリシロキサンブラシを形成し、動摩擦係数を評価した。高密度ポリシロキサンブラシの形成は、未処理のSi基板よりも低い摩擦係数を示した。
  • 本技術により耐熱性・耐候性に優れた低摩擦表面の創製や耐熱性・耐候性に優れた疎水表面・防汚表面の創製が期待されますが、用途に応じた物性データの取得、ポリシロキサンブラシの最適化などが必要と考えております。

本材料に関心のある企業を募集しております。追加情報の提供やフィージビリティ―スタディのためのサンプル提供も可能です。

Patent

出願中

Researcher

原 光生 助教 (東海国立大学機構 名古屋大学大学院工学研究科 有機・高分子化学専攻) 

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