常圧水素下でニトリル化合物の水素化反応を実現する高活性触媒

2023/05/17 13:26 By Tech Manage

金属酸化物へ炭化ニッケルナノ粒子を担持した触媒は、種々のニトリル化合物を一級アミン化合物に変換する。

Advantages

  • 高活性かつ大気中で安定な非貴金属触媒。
  • 固体触媒であり、分離・回収・再使用が容易。
  • 安全対策費の削減や省エネルギー化による製造コストの削減などが期待できる。

Background and Technology

一級アミン化合物は、農薬や医薬品、界面活性剤、染料の他、代表的な合成繊維であるナイロン66の中間体など、幅広い用途で利用されており、工業的にも非常に重要な化合物である。
ニトリル化合物の水素化は、一級アミン化合物製造のための重要な反応である。工業的には、ニッケルやコバルトのスポンジメタルを触媒として用いて行われている。しかしながら、これらの触媒は、極めて発火性が高く危険で、大気中ではすぐに酸化され失活するため、反応の全工程を嫌気性雰囲気化で行う必要があり、取り扱いが難しいという問題がある。また、触媒活性も低いため、反応を促進させるためには高温・高水素圧が必要である。
水垣先生の研究グループでは金属と非金属を組み合わせた触媒に着目した研究を進めている。今回、炭化ニッケルナノ粒子を酸化アルミニウム上に担持した触媒(nano-Ni3C/Al2O3)を開発し、この触媒が大気中安定で、種々のニトリルを対応する一級アミンへ変換できることを見出した。

Expectations

  • nano-Ni3C/Al2O3を触媒とした反応により、種々のニトリル(計26種類)から対応する一級アミンを生成できることを実証した。
  • 本触媒を用いた反応にご興味ございましたら、研究者との面談を次のステップとして提案いたします。

Publications

  • 第52回石油・石油化学討論会 ~他

Patent

  • 出願中

Researchers

水垣 共雄 教授 (大阪大学 基礎工学研究科)

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