歯肉溝滲出液中のジアシルグリセロール(DAG)濃度測定により歯周病重症度を分類する
Advantages
- 歯周病の臨床的重症度と強く相関する非常に精度が高いマーカー
- 非侵襲的で簡単な検査方法:歯肉溝滲出液は、歯周ポケットから出てくる液体であり、歯と歯茎の間を採取ブラシでなぞることにより採取可能。臨床現場での効率的な検査を可能にし、早期治療や重症化予防に貢献することが期待される
Background and Technology
歯周病は、口腔内細菌叢が原因で起こる慢性炎症性疾患で、成人の8割以上が罹患していることが知られている。また、歯周病の重症度は以下のように分けられるが、症状が進行しても自覚しにくく、受診時には抜歯が必要となるケースが多いため、早期の重症化予防が求められている。
軽度歯周炎:歯と歯茎の間の隙間が少し広がっているが、歯を支える骨の減りもわずかで、特に深刻な症状はない。
中等度歯周炎:歯と歯茎の隙間がさらに深くなり、歯を支える骨がある程度失われて歯茎が下がり、歯が少しぐらつくこともある。
重度歯周炎:歯を支える骨が大きく減り、歯と歯茎の隙間が深くなっており、歯がぐらついて抜ける可能性が高く、複数の歯を失うリスクがある。
歯の健康の維持と健康寿命との関連も指摘され、国のプロジェクトとして国民皆歯科検診の導入も進められており、歯科検診時の歯周病検査の重要性はますます高まっている。現在の診断方法は、歯と歯茎の境目(歯肉溝)にできる歯周ポケットに棒状のプローブを挿入して歯周ポケットの深さを歯毎に計測する歯周ポケット検査と、デンタルX線写真が必須であり、多くの患者に対応する簡便な検査法の開発が急務となっている。
Data
- 歯周病患者の歯肉溝滲出液に含まれる多くのジアシルグリセロール分子種の量を歯周病の進行に伴い採取・比較したところ、歯周病の臨床的重症度との相関が認められた。
歯肉溝滲出液中に含まれるジアシルグリセロール(DGs)分子種と歯周病の重症度の関係

Expectations
大阪大学では、DAGをマーカーとした歯周病検査やリスクチェックの製品化・実用化をご検討いただける企業様を探しています。また、DAGを指標にした抗歯周病・口腔ケア商品の開発にご興味のある企業とのコラボレーションも歓迎いたします。本発明に関し、研究者との直接のご面談によるお打合せや、大阪大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示も可能ですので、お気軽にご相談ください。
Patents
Researchers
柏木 陽一郎 助教 (大阪大学 大学院歯学研究科)
以下のフォームからお問い合わせください