ペプチド医薬開発のための高効率な誘導体探索技術

2025/10/06 11:03 - By Tech Manage

改変と活性評価にかかる時間を大幅に削減可能な、新規ペプチドスキャニング法

Advantages

  • ポリミキシンBなど、感染症薬の誘導体探索で実証済み
  • ペプチドの“構造探索”と“化合物評価”を一気通貫で実現できる、直接誘導体探索手法
  • 2パターンの「オリジナルアミノ酸ユニット」と「改変ペプチドライブラリ」を、用法によって選択可能

Background and Technology

ペプチド医薬品の開発のためには、その構造修飾によって活性の向上や安定性付与などの検討が必要となるが、現在、その開発に膨大な時間とコストを要することが課題である。従来は、親ペプチドの修飾可能な部位の探索を完了し、その後、探索された部位の選択的化学修飾されたペプチドを準備し、別途評価していくという工程がとられている。
本研究者は、親ペプチドの修飾可能な部位の探索と、探索部位の選択的化学修飾が両立可能なアミノ酸ユニットを開発した。本アミノ酸ユニットは2パターンが用意されており、プロセス①では、ペプチドスキャニング後、本アミノ酸ユニットの側鎖に存在するアルコールに対しセリン/スレオニンライゲーションを行いて(54種の合成化合物を作成済)スキャニングとペプチドの化学修飾を連続的に評価可能となる。また、プロセス②では、オリジナルアミノ酸ユニットを用いて修飾部位をペプチドスキャニングしたままのプレートで、幅広い市販のアルデヒド化合物を、1工程で探索と化合物評価が可能となる。プロセス①②のいずれも、化学修飾の工程を数百nmolという微量のスケールでの実施が可能であり、多数のペプチドを合成する際の時間とコストの削減を達成し、今後のペプチド創薬へ貢献する技術になると確信される。

Data

ポリミキシンBに対し、プロセス②の反応によって広い基質範囲を見出し、50種類の誘導体から、 in situスクリーニングによりわずか数ミリグラムの走査で、誘導体の合成・評価を行った。
ライブラリには、2種以上の菌株に対して抗菌活性を示す化合物が多く含まれ、そのうち、P03はE.coli.以外に3種類の菌種に対して、P09は、E.coli.以外に6種類の菌種に対して抗菌活性を示した。
これら結果により、本プロセスを用いて、親ペプチドに対し、より抗菌活性の高い化合物、また様々な菌種に対する抗菌活性を示す化合物、および、多種類の菌種に対する抗菌活性を示す化合物を探索できることが示された。

Expectations

現段階:2パターンの「オリジナルアミノ酸ユニット+ライブラリによる探索プロセスのコンセプト実証が完了。
次段階:1. -①探索済み化合物の開発・評価
    1. -②本プロセスによる、対象ペプチドによる幅広い誘導体探索・評価
    2. 本プロセスのキット化、オートメーション化
技術導入、または上記の開発コラボレーション/実用化に関心をお持ちいただけるパートナー企業を募集しています。先ずは、技術の詳細説明とディスカッションから、スタートさせていただければ幸いです。

Patents

  • 出願済 プロセス①:国際段階、プロセス②:国内段階

Researchers

国立大学法人北海道大学 創薬科学研究教育センター 教授 市川聡、講師 勝山彬


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