可視・近赤外イメージングセンサ用 マルチバンドパスカラーフィルタ

2025/01/08 15:56 - By Tech Manage

~アルミニウム薄膜1次元周期凹凸構造のプラズモニックフィルタ~

Advantages

  • 従来の半導体プロセスで作製可能で、量産化が極めて容易
  • ワンチップで人感センサや医療画像用フィルタとしても対応可能な素子
  • 有機顔料カラーフィルタでは物性上達成不可能な、カラー画像/偏光画像の同時取得も可能

Background and Technology

従来から、表面プラズモン共鳴を利用したフィルタ素子が開発され、特定の波長域の光に対する透過波長の選択性を示すフィルタが求められている。また、その一方では、複数の透過帯を持つバンドパスフィルタのニーズがあり、特に可視光領域と近赤外光領域(NIR)を兼ねたスペクトル帯域をカバーするフィルタの開発も求められる。
本研究では、こういったニーズに対応可能なフィルタとして、グレーティング形状かつ周期凹凸構造のアルミニウム膜で、両界面の表面プラズモンが互いに干渉する膜厚(10nm~50nm)のフィルタを開発した。このフィルタは、従来技術と比較して、透過波長帯域の狭帯域化(100nm→50nm)、高光透過率化(30%→60%)、マルチバンド化(8バンド→16バンド)を備え、また可視光に限定されず近赤外領域のマルチスペクトルをカバーし、大幅に光学特性を向上することをシミュレーションにより確認した。
これによって、ワンチップで可視・近赤外同時弁別イメージングや、可視・偏光画像の同時取得が可能となる。このため、同視野での生体試料撮像比較や、暗視野での自動車・セキュリティ用途、通信領域におけるニーズに、リーズナブルな製造プロセスで実現可能なイメージングが可能となる。

Data

プラズモニック偏光カラーフィルタの透過光画像
最適化された分光薄膜は,周期200-500nmに対応してマルチバンドな透過光色を示した。

Expectations

現段階:本カラーフィルタ素子の製造法を確立し、性能評価が完了。
次段階:①用途別の波長選択能/透過率の最適化
    ②撮像装置、イメージング装置用本フィルタ素子開発
本カラーフィルタ素子の実用化、製品化に関心をお持ちの企業、または、意図する用途における性能評価や共同研究に関心をお持ちの企業がおられましたら、先ずはディスカッションからスタートさせていただければ幸いです。

Publications

ITE Technical Report Vol.46,No.41 IST2022-45(Dec.2022)

Patents

特許第7560888号 「フィルタ素子及びそれを含む撮像素子」

Researchers

国立大学法人静岡大学大学院 工学研究科電子物質科学専攻 教授 小野 篤史


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