π拡張ペリレン誘導体の簡便な合成方法と合成出発物質の提供

2024/06/10 16:46 By Tech Manage

Advantages

  • ペリレンジイミドを含むペリレン誘導体のベイ位置への任意の官能基を導入可能
  • 置換対象物質によって2パターンの合成プロセスで多くの化合物合成を網羅可能
  • 「対称な」ペリレン誘導体はもとより、従来合成が困難であった「非対称」や「π拡張」を含むペリレン誘導体の一般化した合成が可能
  • 簡便な合成を可能とする「オリジナルの合成出発物質」を提供可能

Background and Technology

ペリレンジイミド化合物を含むペリレン誘導体は、高い安定性と電子輸送層を形成することから、有機薄膜太陽電池などを構成する数少ないn型有機半導体として期待される材料である。その一方で、n型有機半導体は、電子移動性能を更に向上する必要や、LUMO準位を制御する必要などがあり、製品化に幅広く用いられるためには、合成できる材料のバリエーションが求められている。特に、ペリレン誘導体の非対称化はさらなる性能向上を図る上で有効であることの報告があるものの、非対称化したペリレン誘導体の合成例は限られている。また、ペリレン誘導体のうち、2か所のベイ位置にπ拡張を行ったものは、ペリレンジイミドよりも高い電子移動性能を示すことが報告されているものの、π拡張ペリレン誘導体の一般化した合成手法は存在せず、対象とする構造ごとに合成方法をカスタマイズする必要がある。
本技術は、従来ごくわずかな実例しかない「非対称なπ拡張ペリレン誘導体」の合成方法であり、これによって、ペリレンジ誘導体の構造と機能の多様性が格段に広げられることになる。しかも、本プロセスの出発物質も、本研究室で独自に見出された新たな物質であり、オリジナリティの高い発明となる。現在、本合成方法は確立したばかりの初期的な段階でありながら30%程度の収率を示しており、対象物質や試薬の選択によって、更なる効率が向上可能である。
本合成法を用いることで、これまで合成できなかった多様なペリレン誘導体を、出発物質から簡便に合成可能となり、ペリレンジイミド材料の性能の向上を図ることに寄与する。

Expectations

現段階:本技術の合成プロセスで、非対称ペリレンジイミドの合成実証の完了と合成方法が確立した段階。
次段階1)所望のペリレンジイミド合成による本技術の汎用性実証と、合成材料の性能を評価する。
次段階2)本出発物質や本合成方法による合成のスケールアップや量産プロセスの確立。
特に次段階1)は研究室との協働・ライセンスによって、本プロセスによる合成材料を評価いただけるけるパートナー企業様を募集しています。共同でのグラント申請等も検討可能です。
将来的には、本技術の製造工程での使用、この工程を用いた材料の製品化を期待しております。

Patents

出願準備中

Researchers

静岡大学 大学院総合科学技術研究科工学専攻 - 化学バイオ工学コース
教授 高橋 雅樹、助教 藤本 圭佑
以下のフォームからお問い合わせください

Tech Manage