簡便な製造方法で高い静電容量と優れた電気化学的安定性を実現
Advantages
- 貴金属使用なしでも高い静電容量:958.2 F/gを実現
- 充放電サイクル実験にて比容量保持率112.9%を実現
- 処理時間の変更により簡単に静電容量を調整可能
- 金属ドープにより、さらなる電気化学的特性の改善可能性あり
Background and Technology
近年、次世代のエネルギー貯蔵デバイスとしてスーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)が注目されている。スーパーキャパシタは、大きな静電容量を持ち、充放電サイクル特性や急速充放電に優れ・温度範囲も広く・環境負荷が低い(有害物質を使用しない)という特徴があり自動車産業・再生可能エネルギー分野、各種補助電源など様々な技術分野での活用が期待されている。
スーパーキャパシタの電極として「還元型酸化グラフェン」が注目されているが、キャパシタ電極として用いられている炭素材料はエネルギー密度が低く、例えば長距離電気自動車用に大量の電気を蓄えることができないという課題があった。さらに製造コスト面では、貴金属の使用や還元型酸化グラフェンの製造工程が多いことが、コストの増大につながっていた。そこで、「大容量の電極容量を持つ貴金属フリーの電極材料を簡便に作製できる技術の開発」が求められている。
本発明は上記の課題を解決する還元型酸化グラフェンの発明であり、酸化グラフェンを含む水分散液に金属酸化物等を混合した後に本発明独自の簡便な処理を行うことによって高い比電容量をもつ還元型酸化グラフェンを実現した。
Data
- 本発明で得られる還元型酸化グラフェンの静電容量は958.2 F/g、エネルギー密度は33.27Wh/kg、出力密度は1250 W/kgであった。

- 2万回の充放電サイクル実験において、本発明の還元型酸化グラフェンの比容量保持率は112.9%であるのに対し酸化グラフェンの比容量保持率は104.3%であった。
Expectations
- 本技術を活用しスーパーキャパシタ・グラフェン素材等の開発を行う企業へのライセンスを希望します。
- 試験目的での本材料の提供も可能です。
- 本技術の応用研究や、導入を目指した共同研究も歓迎します。
- ご興味いただけましたら発明者孔教授とのWEB面談もアレンジ可能です。
Patents
特許出願中 特開2024-075148「還元型酸化グラフェン及びその製造方法」
Publication
公開論文 ACS Appl. Mater. Interfaces 2023, 15, 36, 42424–42438
Researchers
孔 昌一 教授(静岡大学)
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